フォレスト・ガンプ
もうずいぶん昔に購入しましたが、時々聞きたくなるので手放せないCDです。
映画もよいですが、アメリカの近代音楽史ともいえるバラエティ豊かな選曲で何度聞いても飽きないのです。
単に寄せ集めのヒットパレードではなく、音楽ファンを唸らせるツボを押さえた選曲。
ニール・ヤングなどが在籍したバッファロースプリングフィールドなどロックファンの心くすぐるバンドの曲もあり、
ボブ・ディランやビーチボーイズ、ドアーズなど知名度の高いバンドも数多い曲の中から「おっとその曲できますか」という通な選曲。
ロックだけでなく、ソウルやモータウン系、フォークなどバラエティに富んでいるのも魅力です。
映画を見て、気になった曲があった方は音楽の幅が広がるはずですのでぜひ聴いて見て下さい。
このサントラを聞いて、また映画を見直してみるとフォレストが歩む時代背景と見事にマッチした曲の使われ方を再発見することができると思います。
映画のサントラとしてはかなり質の高いアルバムです。
フォレスト・ガンプ 一期一会 [DVD]
映画館で見た時はただフォレストガンプの波乱万丈な運命に笑ったり泣いたりしたけれど、この映画を何度も見直すうちに彼の”孤独”というのものを感じてきた。大統領に何度も会ったり、ベトナム戦争のヒーローだったり、億万長者になるというのは世間一般の価値観から見れば「成功者」ということになるだろう。でもガンプはそんなことなど意に介さず、ジェニーへの献身的な愛を注ぐことが最大の関心事なのだ。おまけにジェニー自身がフォレストの愛情をうっとうしくさえ思っているのにガンプの孤独を感じさせずにいられない。
ベトナムの戦場でジェニーに手紙を書き続けるガンプ、やっと2人きりになったと思ったら逃げられるガンプ。ポツンと部屋にたたずむガンプを見ると彼の孤独が痛いほど伝わってきた。後半、何年もひたすら走り続けるガンプはジェニーを忘れるためにやっていたことなのかもしれない。とにかくジェニーとの関係では叶わぬ思いが全編を貫いていたと思う。
運命を自らコントロールしたいダン中尉とジェニー、運命を受け入れるガンプの母。そしてガンプの生き方はその両方。どの生き方がいいとか説教じみたところはなく、淡々と「それが人生」というものを見せてくれる。それが最高に含蓄のある映画になった。
フォレスト・ガンプ
『フォレスト・ガンプ』という映画は、作品として非常に面白い映画だが、映画を彩るサウンドラックの魅力も見逃せないものである。
ある意味、このサウンドラックは、さながらアメリカの音楽史とでも言えるような感じがして、色々なアーチストや楽曲の宝庫でもあり、映画と切り離して聴いてみても面白く感じる作品集といえよう。
フォレスト・ガンプ 一期一会 [DVD]
この作品には戦争やその他身近に起こっているかもしれない幼児虐待などの問題提起もなされており、人の汚い部分も見えてしまうかもしれません。また登場人物たちも、皆素晴らしく良い人だ、とはけして言えません。…時には愚かな事をしたりします。が、私はそんな登場人物たちの人間臭さに惹かれてしまいます。愚かだからこそ、切なくて、そして愛しく感じるのかもしれません。
主人公のフォレストのキャラはそんな登場人物たちの中で一際目立っていて、とても無垢で純粋な人です。彼の視点・物の考え方はとても不思議で新鮮です。ある彼の言葉には私も妙に納得させられるところがありました。彼の行動は正しいとは言えないけれど、けして間違ってはいない、そう思ってしまいます。
個人的にはダン中尉の生き様に、何だか魅せられましたね。
皆さんも一度見てはどうでしょうか。
フォレスト・ガンプ 一期一会 スペシャル・コレクターズ・エデ [DVD]
今さらながらこの作品を見たが、素晴らしい作品だと思う。ご都合主義だとか単純だとか爽やかな話だとか言う人は、この作品を一面的にしか見ていない。
ガンプとジェニーは、アメリカの光と影を象徴する狂言回しのようなもの。光と影は正反対にみえて、そうではない(とくにアメリカという国においては)。だからガンプとジェニーはくっついたり離れたりする。ガンプの半生はアメリカンドリームともいえるが、そこにカタルシスはない。物語の一要素として描かれるだけだ。アメリカ現代史に翻弄されない人物を描くためには、ガンプのような人物が主役になるのも必然だっただろう。
この作品が素晴らしいのはそうした構造を下敷きにしながら、役者と製作陣が力を出しきり深い人間ドラマを作り上げたことにある。 アメリカンドリームを体現したガンプを通じて、運命(歴史)をコントロールしようとするのか身を任すのかどちらが正しいのかはわからない。愛情や友情、素晴らしい景色などを見落とさないことが大切だと伝えようとしている。歴史ではなく未来を象徴する存在としてフォレストJr.は登場するのだ。
時間的にも空間的にもアメリカという国を十分に描いた、「キャッチ=22」や「スローターハウス5」、「ガープの世界」にも並ぶ傑作だと思う。