東京マラソンを走りたい ギャグ漫画家 50歳のフルマラソン (小学館101新書)
喜国さんは古本収集家として有名ですが、ランナーとしても結構気合が入っています。古本を題材にした「本棚探偵」シリーズとの併読をお勧めします。
本棚探偵の回想 (双葉文庫)
貫井徳郎さんの『妖奇切断譜』文庫版のあとがきにて、キクニさんが超絶なる古書マニアであること、貫井さんの結婚祝いに古本を送るほどであることを知りました。蛇足ながら、このあとがき、有名作家さんのと同じくらい読み応えがありました。
キクニさん、文章はかなり達者です。しかしいつものキクニ節は健在で読みやすい。笑いのサービスも満載。イラストも多数。最高です。
唯一の不満は、文庫が出るのが遅いこと。私はこのシリーズ、文庫が出てから知りました。本当は時代を逆行する超豪華限定版の方で集めたかったのですが、一度文庫で集めてみれば、文庫版のデザインも充分オシャレ、なにより本棚の並びの関係上、ぜんぶ文庫で揃えたいのが本好きのサガ。蔵書の数とサイズに合わせて書棚を特注で作ってしまったキクニさん、当然この心理、お分かりの筈。
そんなわけで、最新刊『・・生還』、ものすごーく読みたいけれど涙をのんで文庫化を待っております。
折角こういう面白いコンセプトなんだから特例で、京極夏彦氏のように文庫版も同時に出して頂きたかったです、出版社さーん・・
でも不満はそれだけです。内容は同意できることばかり。まだまだ「悪魔の目録」には手を出せませんが、現代語訳が出ているのにわざわざ古い本を探したり、全巻セットで買えばいいのにわざわざ一冊ずつ集めてみたり、古本市の開催日朝一に駆けつけたり、新しいカーナビに登録するのは古書店だったり、新古書店の店員が五十音順の作家名をあきらかに読み間違っているのが我慢できず勝手に直したり・・・読むたびニヤニヤしてしまいます。
ごくゆっくりのペースで構いませんので、ライフワークとして、ずっと続けて頂きたいシリーズです。
シンヂ、僕はどこに行ったらええんや
著者である喜国さんの東京マラソンの本では、間違った(しかし実は理にかなっている)走ることに対するモチベーションの維持の仕方を教わりました。ボランティアもマラソンも結局大切なのは継続しつづけるということですが、本書でもボランティアでの活動を続けるため方法がいくつも紹介されていました。そのすべてに共通することは「自分が楽しむ」ということです。未だにこの言葉をもって表現することが適切であるかどうかは自分でも正しいか判断できませんが、本書では喜国さんと仲間の方々が被災された現場の中で自分の特技や仕事と紐付けして厳しい作業を乗り切る姿が描写されています。表紙のシンヂという変わり者がきっかけで被災地に赴いた喜国さんのように、本書がきっかけとなって被災地に関心を持つ人が増えるのではないでしょうか。
本棚探偵の冒険
マニアには程遠いのだが、自分自身にも好きな作家の作品はオリジナルの単行本を持っていても文庫本や新装版を買わずにはいられないという嗜好があるので、喜国氏の生活は憧れに近いものがある。実にうらやましい。
このエッセイがおもしろいのは、蒐めても読まない古本を買うという行為にはまっている自分をおもしろがる、という視点があるからなのだろう。だから、読者(自分)は彼を羨ましいと思いつつ、微笑ましいとも感じたのだと思う。
表紙に惹かれなんとなく購入したのだが、当たり!の一冊だった。
大聖堂 BOXセット (ソフトバンク文庫)
ケン・フォレットの代表作にして世界的ベストセラーである。舞台は中世のイギリス、大聖堂建造に情熱をかけた二世代にわたる建築職人の話。中世特有の魔女裁判、飢饉、レイプなどの暗い話と恋愛、希望の明るい話が交互に繰り返される。面白くて大作で睡眠不足になるのを気をつけねばならない。またこの大聖堂は、続編として「大聖堂(果てしなき世界)」に繋がる最初の物語でもある。