血液病レジデントマニュアル
レジデントだけにはもったいない感じ。
外来のお伴にもちょっといいかも。
小さいし、分類や診断基準がしっかり載ってるし。
一人の人が書いてあるためか、
記載のダブりや、相反がなくて、
整合性がとれている。
血液腫瘍、、が主体で、
血栓止血や溶血は、やや控えめな感じ。
安部英医師「薬害エイズ」事件の真実
「薬害エイズ、安部、裁判」で検索をかければ、業務上過失致死罪に問われ、1審で無罪となった安部医師に対する罵詈雑言、判決に対する疑問の声がぞろぞろヒットする。本書は、このような世論のなか、安部無罪判決の正当性を一般読者に対し懇切丁寧に説明したものである。おそろしいことに、安部英は悪人でもなんでもなく、むしろ加熱製剤承認がすみやかになされるよう尽力した偉人であるというのだ。では、この騒ぎはなんだったんだろう。そのあたりは、是非この本を読んでください。8人の著者による共同執筆のためか、記述内容に重複があってわずらわしいが、正確さを第一としたのだと思う。本書に対する反論も期待したい。
みんなに役立つ血友病の基礎と臨床
血友病とその関連疾患について、その基本からトピックまで、幅広く網羅されています。
ここまで広く、分かりやすく書かれていた本はなかったんじゃないかなあ。
とりあえず、血友病の診療に関わる可能性のある人は読んでおいたほうがいいと思う。
日常診療に必要な事は網羅されていると思う。
しばらく、関わっていなかった人のアップデイトにも、、。
ニコライ二世とアレクサンドラ皇后―ロシア最後の皇帝一家の悲劇
私にとって、ロマノフ王朝は興味の対象外だった。
ベルサイユのばらで、ブルボン王朝断絶については日本人には親しみというか基礎知識があるが、隣国でもあり、100年前に戦い、ニコライ2世が皇太子時代来日して大津事件に遭遇したことも基礎知識としてはあったが、ブルボン王朝末期に比べ知っていることはほとんどなかった。
この本を手に取ったきっかけはルイ17世のDNA鑑定に関する書籍を読了後、同じく「偽物」が現れた皇女アナスタシアの書籍を読み、その「物語らしさの強調」に辟易とした時だった。「怪僧」や「皇女」等、劇的に書かれているものは、その世界に憧れ、劇的な世界にのめりこませてくれるかもしれない。
だが、この本は違う。欧州の王族、その婚姻関係、それによる血友病の遺伝と、血友病の皇太子を持つ皇后の苦悩、欧州を巻きこむ大戦への皇帝の苦悩。
他の欧州王室、皇室関係者、政府関係者、大使の報告等の書簡・日記を交えて記されている。(当時の人間の文章表現力の現代人に勝る事と言ったら!)
ルイ16世も、ニコライ2世も激動の時代でなければ、温和な支配者として歴史に埋もれていたかもしれない。その王朝の最も温和であろう支配者が、血まみれで殺害されるなど、劇的と言うより皮肉としか思えない。
惜しむべきは「ロシア」時代の欧州地図を掲載しておいてくれていたら一助になったと思うが、それを差し引いても、この本は良書だと思う。
また余談だが、この時代の欧州や、断絶する王家を見、知ることで、改めて日本と言う国の特異性、皇室の存在について考えるところもあった。