アミスタッド [DVD]
人種差別反対、奴隷制反対のヒューマニズムはよくわかりますが…それだけ。シビアに言えば、そういったヒューマニズム入門映画という感じで、物足りないと同時に安直感がぬぐえません。主人公の黒人はたくましすぎて現実味に欠けます。とどめは裁判でなぜ彼が英語で叫ぶのか?不自然。ひとつ満足したのはスペイン女王のアンナ・パキン。ほんの数分か数秒の登場なのに、あの女王の生い立ち、背景がすべて見えました。さすがです。
Amistad, Level 3, Penguin Readers (Penguin Readers, Level 3)
奴隷船、アミスタッド。そこから何とか抜け出そうとする主人公。彼の望みは一つ、家族のもとへと戻ること。彼らの力になりたいと、権力に立ち向かい、正義を信じる人々。裁判の結果は?そしてアフリカの故郷へと帰ることは出来るだろうか?
文明と未開の地の人が出会った時の、根本的なセンスの違い、文明の発達によって人間が何かを失う「流れ」の原型が描かれているように思う。人を信じようと思う、後味よいストーリー。
スペクタキュラー・スピルバーグ
これ一枚でよく知っている映画音楽を、ゴージャスなオーケストラサウンドで楽しめます。
通常はクラシックをきっちりやってるオーケストラで、演奏はしっかりしています。
また、Telarcの録音は見事で、サウンドトラックなんかより格段に良い音です。
アミスタッド [DVD]
脚本、監督、出演者、配役、どれをとってもはまっています。特に奴隷のリーダー役を演じているJ・ハンスーは、もとホームレスという全く無名の黒人俳優。彼の演技が一番の見所といっても言いすぎではない。俳優ではないがエキストラでもない「奴隷役」たちをも絶賛したい。
アメリカの奴隷制度を題材に多くの作品が世に出ている。これはその中でも一目置くべき作品だと思う。実話に元ずくしっかりしたストーリーであり、この事件以後起こる南北戦争につながる出来事として説得力がある。
ただ奴隷として出演した彼らの演技が、あまりに真に迫ってくるため、観ていてつらくなるのも確か。史実として目をそらさずに見据えよう。
メイキングではスピルバーグ監督を含めて主な俳優陣がこの作品を語っている。これは見逃せない「作品の一部」と言える。スピルバーグ監督が「人間とは何か」がテーマだったと語っていたのが印象に残る。