万葉集 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
千数百年前の日本人の心情が迫ってきた。
特に、恋心、亡き人への想い、悲しみなどは、痛切であるが優しさに満ちている。
つまり感情がストレートで豊かなのだ。
好きな歌
「あしひきの 山のしづくに 妹待つと 我れ立ち濡れぬ 山のしづくに」
作: 大津皇子
作家の猫 (コロナ・ブックス)
私は猫好きだが猫の見た目にはうるさいほうで、美形でない猫にはあまり興味がない。
だがこの本の猫たち、どの子もとてもかわいいのだ。
美形の子猫ばかり集めた写真集よりも、ずっと萌えるのだ。
白黒の、細かいところがつぶれてしまっている古い写真がそんな吸引力を持つのは、
飼い主である作家(おじ様が多い)と一緒に写っているから。
不思議とこちらも飼い主目線になってしまう。
猫を飼い始めて寛容さを身につけた。
なんといっても相手は人ではないのだから、思い通りにはならない。
そしてその寛容さは、猫よりも私自身に安らぎをもたらした。
作家といっても色々だとは思うが、神経を鋭く保ち続けることが創作には必要であり、
そして時にその鋭さが彼らを悩ませる。
傍らに猫を置き、猫への寛容をもって自分を癒す作家たち。
その光景は温かくて懐かしい。
日本の心を唄う 現代日本歌曲選集 第2集
私が最も信頼する某音楽評論家が絶賛していたため購入したが、私のような凡人には、やはり声の揺れ、衰えが気になり、感動したり、楽しんだりすることはできなかった。これで感動できるためには、よほど音楽の本質を見抜く力が必要であると思う(だから私は感動できなかった)。とはいえ、また将来聞き直せば新たな感動が得られる可能性もあるので、私としては、10年後に再度聞き直すために、大切に保管しておこうと考えている。
杏っ子 (新潮文庫)
金沢三文豪の一人である室生犀星の最長の長編ですが、もともと新聞小説であったため、一章の区切りが現在の新聞小説と同様に短いので読みやすく、2週間ほどで読破できました。室生犀星の自伝的小説で、芥川龍之介などの実在の人物が実名で登場します。犀星の幼年時代からの話も前半にありますが、中心は娘が生まれて、結婚してからの話です。結婚生活をすぐに諦めて投げてしまう人物と苦しみを重ねても結婚生活を続けていく人物が対照的に描かれています。こうした中で、犀星がモデルの主人公は、苦しんで生涯の損をするところから芸術とか学問とか映画というものが作り出される、人間は一生不幸であってたまるものか、と語ります。困難にたたきあげられて強くなっていく登場人物の姿勢は感動を呼びます。
繰り返し読みたい日本の名詩一〇〇
詩集を初めて買う方にも、そうじゃない方にもお勧めな一冊です。高村光太郎の「レモン哀歌」や中原中也の「汚れちまった悲しみに…」など。皆一度はどこかで読んだ事があるような代表的な詩ばかり。
ちなみに私は石垣りんさんの「くらし」が好き (・_|
いろんな人の詩が入ってるので、新しい詩人との出合いがあるかも。
お勧め!