Sand
1987年に発表されたシンザックスを多用して作られた作品、前作はリズムを前面に押し出した躍動感のある楽曲が多かったが、本作はジャケットの世界そのままに荒涼とした砂漠のような世界が第一印象として耳に残る。しかし、3曲目、4曲目、5曲目などはこれまでの特異な音世界を継承する楽曲だし、プログラミングされたBGMの上を流麗なギターが漂う6曲目は「ブラフォード」や「ワンオブジカインド」の楽曲に劣らない佳作だと思う。当時の早弾きを迎合する音楽業界の風潮に対して別なアプローチで制作し、ギタリストの新世界を開拓しようとしたアランの試みは賛否両論に別れるが、僕は本作を支持する。ゲーリーハズバンドのドラムソロに代わってフランクザッパバンドで見せたチャドワッカーマンらしい不協和音的なドラムを奏でる猥雑な5曲目も傑作だと思う。
ALL NIGHT WRONG(ステレオ&マルチチャンネル)
名前は知っていたがこの人の事は正直まったく知らなかった、というか聴かず嫌いでとにかく避けていたギタリストだったが勇気を出してこのアルバムを手にしていままでもっていたイメージがすべて覆された!まあギターがすごいこと!バカテクで弾きまくりで最高の気分に浸れる一枚!エディヴァンヘイレン、スティーブヴァイや数々のギタリストに尊敬されながらもあまりにもマニアックな人なので名前さえ知らず聞かず嫌いな人が多いと思うが、まず聴いて見て欲しい。超高速変態的レガートフレーズがなんともいえない浮遊感を感じて独特な陶酔感すら覚える。説明するのが難しいので聴いて見てよさを実感してほしい!イングヴェイなんかに飽きてしまった人にはもってこいだろう。とても不思議なフレーズを聴かせてくれるギタリストだ。
I.O.U
1985年の自主制作アルバムがまだ売られているということ自体、このアルバムが少なからぬ支持を得ていることを示しています。内容は、ほぼ文句なしです。Allan独特のギターを堪能できますから。その点は買ってよかった。ただ、個人的な好みですが、vocalが嫌いです。全曲インストにすればよかったのにと思います。また、作曲能力という点ではAllanはいま一つのように思います。UKやGongでのプレイと比較するといまいちな気がしてしまいます。
All Night Wrong
六本木ピットインでのライブということで、少し安心しました。
というのは、FM等でのオンエアの印象だと思いますが、
大きなホールだと音が引っ込んでいて間に出ていないような気がするのです。
その点、ライブハウスということで、音が前に出ている、
というか音が逃げていない気がするのです。
スタジオワークでの音とはさすがに違う気がします。
だから、ちゃんと聴いているとスタジオじゃないなというのは感じます。
ところが、何気なしに聴いているとライブの不足感がないのです。
チャド・ワッカーマンのタイコもいいです。
ライブプレイの遊び感が出ている感じがします。
「ライブだから」とためらっている方には特にお薦めしたいです。
Secrets
様々なバンド、セッション活動で多くの実績を揚げている、英国出身の凄腕ギタリストの、’89年発表のソロ・アルバム。
本作の特徴は、ズバリ“聴きやすさ”である。
この人の超絶技巧を今さら取上げる必要はないだろう。ただ、その高度な演奏技術が聴き手を限らせていたのも事実だ。
ところが、本作はその聴き手を限定しようとせず、より多くの聴き手にアピールしようとする試みが窺える。
単純にはヴォーカル入りの曲がある。しかも曲によって男声、女声を使い分けている。
一番の要因は、楽曲にはっきりとしたメロディ・ラインがあり、それを丁寧に描き出している点にある。そこでのプレイは実にエモーショナルで心地良い。
その合間を縫って、ならではの超絶技巧が冴えを見せている。
この2通りのプレイ・スタイルがお互いを生かしあい、作品全編に緩急とメリハリをつけ、抑揚を作っている。
その柔軟な姿勢、スタイルこそが、本作のあらゆる魅力を引き出している。