韓国財閥解体 (B&Tブックス)
筆者はこの本のあとがきで、『韓国経済の専門ではない方々に、韓国の経済、韓国の財閥において現在起こっていることをお伝えするため』に、『わかりやすさをモットーとし』て、『新聞報道と専門書の中間のような存在を目指し』たと書いているが、その意図は十分果たせていると思う。本書を読めば、韓国の財閥の沿革と盛衰、そして彼らを取り巻く環境の変化についての基礎知識は得られる。
ただ、いかんせん新聞や雑誌の特集記事より少し詳しめという程度なので、記述内容の「なまもの」度が高く、2001年8月の初版出版から3年も経つとすでに鮮度が落ちて、コンテンポラリーな情報とは言えないものも多い。韓国経済についてある程度の知識のある方や、韓国に限らず「財閥」という企業形態の功罪などに関心のある方には、食い足りないと感じられるだろう。個人的には、例えば日本の財閥解体の経験との比較や、他の発展途上国での経済力集中の問題との比較、コングロマリットや同族支配の企業におけるコーポレートガバナンスに関する議論なども視野に入れた論考があれば、より面白い本になったのではないかと思う。
アメリカ独占禁止法―アメリカ反トラスト法 (アメリカ法ベーシックス)
ビジネスのグローバル化が叫ばれる現在、アメリカの独占禁止法を知らないと痛い目にあいます。
しかしその概説書はないという現状の中ではかなり質が高いと思います。著者の持論である「法律条文では独禁法はわからない。ケーススタディをとことんやるしかない」という信念が貫かれていて、明快です。
しかし大陸法的な法学を学んだ人には抵抗があるかも。
名門高校人脈 (光文社新書)
通常学閥というと大学を思い浮かべるが、
高校に目をつけた点は新しい。
しかし内容が人脈というよりも有名人列挙なのと
「ハビトゥス」というポイントとなる概念が
極めて曖昧な点は残念。
しかし当たり前だがいい大学に入るためには
いい高校に入るのが近道であるということが再確認できる。
話のネタという意味では悪くない。