ホームレス博士 派遣村・ブラック企業化する大学院 (光文社新書)
博士に職がない問題に関しては、個人の資質・能力・動機の問題と、政策や大学人事の問題とを切り離して論じる必要があると思う。本書は視点が個人からのもの(自分自身や周りから聞いた話)に偏り、客観的根拠を示さない憶測やベタな誇張表現ばかりが目立つ。個人的な愚痴レベルで政策や大学を批判したところで、結局のところ「大学院後期過程に進むと就職が厳しいことは自明だった」「自分で選んだ道なのだから」といった自己責任論に弱い。これまでそうであったように、政策・大学批判と個人の自己責任論とがごちゃまぜになった議論が繰り返されるだけだ。
個人の問題とは切り離して、なぜ日本社会の中で現行の大学院重点化政策がなじまないのか、事実に基づいて、俯瞰的、定量的に論じる必要があると思う。大学院重点化以前との比較や、大学院が社会の中で機能している欧米との比較も必要だろう。本書にはそういう視点が感じられないのが残念。
とはいえ、「ブラック企業化する大学院」とは一面の真実をついている部分もあるので、これから大学院進学を考える人が本書を読むことには意義があると思う。
高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)
細かいところには文句もあるけど広める価値のある内容だとは思う。世間一般には馴染みの無い博士課程や大学教員の話、とくに制度や現実の問題点を晒している点に価値がある本。大学院進学を考えている人にとっては「構造的にボロボロだから安易に進学しないほうがいいよ(とくに文系博士課程)」という忠告として、大学に対しては「世論が動いたらどうすんの?」という警告ととれる内容として必読。こんな本を出版する著者の勇気には脱帽。本来なら有名大学の教授が何年も前に出版していなければならない内容でしょう。
現在の日本の大学院が高齢高学歴ワーキングプア生産工場としての能力を発揮していることと、それが税金と人的資源の無駄遣いであることの指摘が説明の中心であり、この点において著者の指摘は正しい。細かな点に関しては先行レビューの指摘の通り、将来をマトモに考えずに進学しちゃった人や一部の大学の事情を一般的なこととして述べている嫌いがある。評者が出た大学院では進学を薦めるなんてなかったし、研究員はお金を払わず大学の設備を自由に使っていたし、ドクターコース進学の危険性なんてみんな知っていたし、教授に頼ったり使われたりする徒弟制度なんて例外だったし、一部の教員の体質も常識だったし。
この本を学生に読まれると困る大学教員ってどれくらいいるんだろう?教員やってる友達に今度聞いてみよっと。
狂い咲きの花 (5) (Wings comics)
<ばく>でこの作家さんに魅せられ、手に取ってみました。
三日前に読み終えたのですが、未だに胸が締め付けられるようです。ラストシーンはもちろん、全巻を通してこんなに切ない場面てんこ盛りな漫画は初めてなんです。
眠さを我慢しながら徹夜して最終巻を読んだ漫画はそうはありません。(多分<バナナフィッシュ>や<ベルばら>以来なんじゃないでしょうか、、、)
このような、虚ろな目をした人物の手足が極細で長い絵柄は、スタイリッシュではある反面
キャラたちが始終無表情のままのが多いと思い込んできましたが、この作家さんの絵はとても表情が生きています。(中には無表情な登場人物もいるという感じです。)
ただ、星が4つになったのは、神への神秘感がなくなってしまう展開が私としてはとても拍子抜けなことでしたからです。 急に世界観がSF的になるのはどうかと思います。 同じ結末に辿り着くにもなにか他に方法があったのではないでしょうか。
でも、これはあくまでこの5巻への厳しめの評価であり、作品全体はいつまでも私のベスト10内に残ること間違いありません。
狂い咲きの花 (1) (Wings comics)
だんだん絵がちょっと、、、?という感じになっている気がします
個人的な好きずきかもせいれませんが、、アジアンビートとも違って
「ばく」の時の絵ににていますね。
それより早く「帝国」単行本にならないかなと思います
内容的には独特
不純 (Feelコミックス)
主人公の桜が非常にいいキャラです。友達になりたい。美人なのに男運が悪くて中身はおっさん…ありがちな設定ですがこの作家さんが書くとなぜかお洒落に。シリアスと笑いの切り替えも絶妙です。となりに住んでる桜の教え子、士郎くん(中学生)も素敵です。クールかつシャイ(なのか…)。自分ちの隣に居たら超可愛がるのに。士郎くんの一途な想いが届くように見守りたいです。 また、この作者さん!一部では違うペンネームでマンガを書かれていると言われてます。昔の作品は胸が抉られるような作品ばかりでしたが、未だ保存してある。かなり好きだった…。つい手書き文字を比べたりしました。 真偽はわかりませんが、別人でもこの作品はおもしろかった。