株価暴落 (文春文庫)
サスペンスの形をとりながら、貫かれているテーマはエリートイズム批判。筆者は銀行員出身らしく、内情にも詳しい。
まず、数年前のダイエーあたりからとった不良債権処理事案に、爆弾テロを重ねるという構想力が素晴らしい。ストーリーは二重奏のように進み、金融知識の確かさに加えて脇役に至るまで登場人物の彫りも深く、読む者を飽きさせない。この辺には筆者の才能を感じた。間違いなく今後も期待したい小説家。
ただ、最後まで善悪二元論を貫いたあたり、悪役の人物像が薄ぺらになってしまったようで、残念な読後感が残った。
株価チャート練習帳
この本は、各章ごとに「ローソク足」「移動平均線」「出来高分析」などについての基本的な説明と、実際のチャートを使った練習問題で構成されています。基本的には、株を始めて少したったくらいの初級者を対象にしている本のようで、これから株を始めるというような超初心者には、少しわかりにくいかもしれません。解説部分は基本的なことが多いので、中上級者には物足りないかもしれませんが、練習問題は楽しめると思います。
感心したのは、練習問題の解説の中で、チャートが騙しになる例と、その対処法についてもきちんと書いてあった点です。チャートの教科書的な本の多くは理想的なチャートとその解説をただ並べてあるだけのものです。しかし、実際の取引で教科書どおりの展開になることはまれです。そのギャップに悩んでいるような人には参考になると思います。
練習問題が多いため、この本には数多くのチャートが掲載されてますし、それに対する解説も豊富にあります。初級者から上級者までそれなりに参考になる本だと思います。
巌窟王 第10巻 [DVD]
たった今、この10巻を見終わって、このレビューを書いてます。
前巻の派手な戦闘シーンも秀逸でしたが、この巻の「展開」も
実に素晴らしい。
冷静に考えたら、アレクサンドル・デュマの原作にこんなシーンは
無いんですけど、(それを言い出したら、原作は初めから月に行ったり、
宇宙船が出てきたりしませんけどね)
そもそもが、フランスが世界に誇る人類史上最高の復讐劇ですから、
この「展開」が気に入らない人もいるかもしれませんけど、(その
気持ちも分かりますが)絶対にこれも「あり」です。
特に「手紙」の中身ね。
ネタバレは本気で好きではないので書きませんが一つだけ言えます。
見て損はないですよ。
インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実 [DVD]
2008年に起こった「リーマンショック」がもたらした世界不況の実態を追及したドキュメンタリーである。リーマン・ブラザーズ社の破綻を招いたのは、米国金融界が大々的に売り出したサムプライム・ローンだと報じられているが、これがどのように売り出され、金融界の大物たちがその利益を我が物にしていったかが関係者に対する調査を通して追求されていく。ポールソン前財務長官、前FRB 議長グリーンスパンらとともにIMF 専務理事ストロスカーンや、高級売春組織のオーナーであるデイヴィスなども登場。一般市民の多大な被害をよそに、金融関係者が莫大な利益をせしめた事実が暴露される。まさに許し難い裏面である。監督はチャールズ・ファーガソン。第83回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー部門賞を受賞した109分の作品である。アメリカの政治がどんなに金融と一体であるか、それがどんなに恐ろしいことかがよく判ります。
マネー・ゲーム 株価大暴落 [DVD]
大まかなストーリーは親父との葛藤を通じて成長していく主人公。
ラストでは親父との和解、そして衝撃のラストシーンといった見どころもあるのですが、この映画の一番の見どころは電話でのアポ無しセールスの場面でしょう。”電話で相手に興味を抱かせて、その場でクロージングする”その一連の流れが芸術的ともいえる手法で描写されています。
決してごり押しせず、顧客に食いつかせておいてから、適度に引くあたりの駆け引きは見事です。