モーツァルト : ピアノ協奏曲第23番&第26番
一般的にはベートーヴェンのスペシャリストと云われているグルダだが、その本領はモーツァルトでこそ発揮される。
グルダのある意味「軽い」と云ったら語弊があるかもしれないが「軽妙」なタッチは、モーツァルトにこそ相応しい。
ジャズ好きだったグルダらしいアドリブを交えた演奏は、その美しいタッチと相俟ってまるでモーツァルトとの会話を楽しんでいるかの様だ。
天性のモーツァルト奏者による最高の「戴冠式」。
モーツァルト・フォー・ザ・ピープル [DVD]
モーツァルトのソナタなら、ポンス、ラローチャ、ピリス、あるいはバレンボイム等とお思いの方。確かに、優等生的、正統派ばかりでしょう。が、グルダにかかれば、モーツァルトの息遣いが聞こえる。人間性溢れるグルダのひたむきな演奏、テクニックにも舌を巻かざるを得ないだろう。こんなにも、慈愛と格調、喜びと品位に満ちたモーツァルトを発見でき、しかも良質なライブ画面・音声で聞けるとは!!ベタ誉め過ぎるかもしれませんが、来日公演が少なかったがゆえに、日本では今一つの評価のグルダを再発見していただくためには、聞いて損はしない1枚。亡きグルダをしのぶ、マニアならもちろん、太鼓判の必聴版です。
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番/第4番
価格が安過ぎます。3000円CDでもこれ以下の演奏は沢山有るのに....。
グルダの演奏はクセが有りなじみの薄い演奏家ですが、3番を色々と捜していてこのCDも買いました。
私はルービンシュタイン/トスカニーニの演奏が一番良いと思うのですが、音質が.....、
期待したリヒテルは迫力不足、アルゲリッチはクセが出ていたり.....、
ミケランジェリーの演奏は相当良かったのですが、このグルダはそれに並ぶ演奏(録音)です。
ピアノへのタッチが終始安定して、クセも無くスリリングに力強くそして繊細。
写真で言うならば、重圧繊細な被写体を古い名レンズで写したら、流石に名機。
ノイズも無く抜群の解像度にコントラスト、しかもボケ味も甘くシッカリした表現。
オケの響きにピアノの音がマッチしてそれを上手に捕らえた録音。
流れる様に進むピアノ。3番を考えるならばお勧めです。
下手な表現で申し訳け無いのですが、感動したので書きました。是非この素晴らしい演奏を聴いて下さい。
フリードリッヒ・グルダ・プレイズ・モーツァルト・ピアノ・コンチェルト [DVD]
弾き振りなのですから当然といえば当然ながら、グルダばかしが写し出されるのには食傷します。 また、協奏曲ならではの独奏者と指揮者との協演・競演が味わえないのにも物足らなさを感じました。
フリードリヒ・グルダ I LOVE MOZART, I LOVE BARBARA[DVD]
M1〜M5はグルダのピアノ・ソロ。くつろいだ雰囲気だけれども真剣な演奏による、モーツァルトへの愛の告白。M5はグルダの編曲で、素敵なピアノの小品に仕上がっている。
M5で舞台に登場したデナーラインはM6から演奏に加わる。グルダ作曲の美旋律で有名なM6は、M5とほとんど切れ目なしで演奏されることで盛り上がり、かつデナーラインのシンセサイザーの音が薄く被さって、グルダのピアノが殊のほか美しく響く。この曲のワン・オブ・ザ・ベストの演奏だと思う。
本作にグルダと他のプレイヤーの共演に時として感じる過剰さはない。デナーラインのオルガン&シンセがグルダのピアノのアタックを包み込むように作用するから。なかなか良い組み合わせだ。
11分を超すベニー・ゴルソンの曲M8では、オルガンの足ペダルでのベース・ソロが面白い。最後M10ではグルダが上機嫌で弾き語りの歌を披露。
このように90分超のプログラムの内容自体は満足できる。しかし、国内盤は輸入盤(リージョン0)パッケージに、日本語で印刷した紙カバーをつけただけで、日本語字幕・日本語解説書はついていない。輸入盤で十分。国内盤としてのパッケージ全体の質を考慮して、評価は辛目。