ディス・イズ・ボサノヴァ [Blu-ray]
「・・・あれっ・・・」という冒頭のしばしの無音部分からやがて、そよ風のようなギターの音色が流れてきます。あとは引き潮のように、驚くほど自然にボサ・ノヴァの世界へと導かれて・・・。ナラ・レオン、カルロス・リラ、アントニオ・カルロス・ジョビン、ジョアン・ジルベルト・・・・・。これまで何かの機会に一度は聞いたことのある名前と共に素敵な音楽が絶え間なく流れ、往年のミュージシャンたちが当時の思い出を語り、それを裏付けるかのような懐かしい映像がその隙間を埋めていく・・・。あっという間の数時間。まるで日常の表通りからふとしたきっかけで瀟洒な邸宅のパティオに招かれたような時間でした。
アントニオ・カルロス・ジョビン イン・コンサート feat.ガル・コスタ [DVD]
ボサ・ノヴァの名曲の数々を生み出した偉大な作曲家アントニオ・カルロス・ジョビンのロサンゼルスのウェルターン・シアターで1987年に行われたライヴです。ゲストにボサ・ノヴァの歌姫ガル・コスタをむかえ、その共演も5曲を数えます。彼女は美しいですし、雰囲気があります。
曲目が掲載されていませんので、14曲をデータとして列挙します。ワン・ノート・サンバ、ジサフィナード、おいしい水、ジンジ、波、黄金の歳月、ガブリエラ、想いあふれて、トゥー・カイツ、ソーホーのサンバ、セビア、ジェット機のサンバ、三月の水、コルコヴァードとなっています。
これだけの名曲を生み出したアントニオ・カルロス・ジョビンのピアノと美声ではありませんがとても味わいのあるヴォーカルを映像として鑑賞できるというのは貴重です。1994年に逝去されたことを考えるとよくぞライヴ映像を残してくれたと思っています。一般的に知られている曲が多く含まれていることやライヴの楽しさを考えますと、DVDの利点でしょう。映像の解像度は甘く、詳細は分かりづらいですので、雰囲気を楽しんでください。
5人の女性コーラス(ユニゾンが多いのでハーモニーの美しさはあまり感じられません)や、フルート、ギター、ベース、チェロの編成のバンダ・ノヴァもいいです。それに観客がボサ・ノヴァをよく知っていますので、ラストはスタンディング・オベーションでカルロス・ジョビンを称えています。
なお、冒頭にソニア・ブラガとセルジオ・メンデスが登場して、このコンサートの素晴らしさとその価値を言葉として伝えてくれました。
[DVD]スローブルー[DVD+波音CD] ボッサ・モルディブ
SUNRISE・AFTERNOON WAVE・ORGANIC ISLAND・SUNSETTIMEの4章からなるDVDと
全1時間の天然波音CDの2枚入り。
購入前から安っぽい表紙にあまり期待はしていなかったのですが、映像に関しては
予想以上にがっかりでした。
一目で安いリゾートで撮影したと分かるその映像は、モルディブというよりフィジーでは?
モルディブならではの高級感というか秘島感がまったくない。
あんな大型船はイメージに合わないし、サンセットはもっと綺麗だったはず。
(勝手な思い込みかもしれないが、ハネムーンの記念に何かモルディブのDVDを。
と思っていた私にはかなりギャップがありました。)
しかし音楽の選曲はとても良い。
なんとなくボサノヴァが好きという素人の私でも知っている曲がたくさん。
波の音・やしの木をそよぐ風の音とうまく調和してとてもリラックスできます。
なので総合では値段もお手頃なので星4つです。
でも、モルディブのいいDVDまた探さなきゃなぁ・・
やっぱりあれもこれもって欲張ってはダメですね。
情熱のリオ ベテラン・サカオの半世紀 とっておきのブラジルおもしろ裏話
友人の薦めで聞くようになったボサノヴァ、その彼が薦めてくれたのがこの本です。同社から発売されている「ボサノーヴァ詩大全」の著者による、ブラジルに渡ってブラジル音楽界や放送業界、日系社会に深く関わってきた人でしか知り得ない、まさに「とっておきの裏話」が語られています。友人に言わせれば、故・大島守さんを除けば、ブラジル音楽界に最も詳しい事情通はこの坂尾氏との事。
著者・坂尾英矩氏は、昭和6年(1931)横浜に生まれ、日大学生バンドで進駐軍回りをしていたそうです。その後、昭和31年(1956)に単身ブラジルに渡伯。
そのきっかけが、領事館で出会った美しいお嬢さんをして「私はブラジルではブスよ」というその一言。そこで坂尾青年は「ブラジルにはどんな素敵な女性がいるのだろうか?」と地球の反対側まで出かけていったそうな(ボサ・ノーヴァ詩大全より)。
というわけで50年以上ブラジルのメディア界を中心に深く関わり、アントニオ・カルロス・ジョビンや小野リサのエピソードなどは、まさに「裏話」。知っている人間には鳥肌モノです。
文体も堅苦しくなく、というかむしろ、非常に感性に忠実というか、ぶっちゃけ開放的で俗っぽい、いかにも「ブラジル的」なテイスト満載です。文章自体が上手く「読ませてくれる」ので、あっと言う間に読み進めていけます。また1話完結の短編(エッセイ?)集なので、興味ある部分だけ拾い読みしていくのも良いと思います。
ちなみに、自分の気に入ったエピソードは「ブラジル男子の夢は……を食べること」「ヒップに乾杯」「ヒップ大国の危機」…って、全部“そっち関係”。
ブラジル人気質というものが少しだけ感じられた気がします。面白いです、おすすめ!
アット・ジャズ・カフェ・ボサ・エディション
女の子向けの可愛いジャケットに騙されてはいけない。
このCDに収められた曲はボサノバのスタンダードであり、かつ、それぞれの曲を代表するテイクである。
アントニオ・カルロス・ジョビン、ジョアン・ジルベルトらボサノバ創成期の大御所、スタン・ゲッツ、ウエス・モンゴメリーらボサノバを語る上で外せないジャズ界のビッグネームらの演奏や歌が存分に楽しめる。
ボサノバで1枚、ベスト盤を、といわれたらこれを選ぶであろう。
吉村浩二氏の選曲はさすがだ。ライナーノーツで氏の駄洒落があまり出てこないのもいい。
しかし、曲の情報やアルバム名などの情報をもっといれてもよかったのではないだろうか。初心者に配慮して難しくしすぎないようにしたのだとは思うが。