決定版二〇三九年の真実 (集英社文庫)
予備知識なしに、本書を25年前に初めて読んだ時は、それはそれは大きな衝撃だった。文句なしの5星だった。JFK暗殺に完全にはまってしまった。ダラスにも二回足を運び、サンフランシスコ市立図書館では、本書の主たる種本になっているウォーレン委員会報告書(たしか資料編を含めて27-28巻)の本書が引用している箇所を全て原本にあたってみた。すると、英語の原文から相当飛躍したり異なる内容の日本語に意訳されたり、書いてないことが付け加えられて本書に収録されているのが判明した。例えば、原文には「20分前」となっているのに、本書では「2時間半前」と、全く異なることが本書では書いてあるような箇所が複数ある。またほとんどの引用ページが異なっている。本書にいったいどこまで信頼性と客観性があるのか疑問を感じ始めたのはそれからだ。
本書に興奮した私は、何人ものアメリカ人の友人に本書の内容を話したが、誰も乗ってこない。「また、その手の話か」程度の反応である。それでアメリカで何百冊と出版されているJFK暗殺物の数冊を読んでみた。各々がウォーレン委員会報告書を種本にしており、それぞれ独自の視点、分析を加えて本書と似たり寄ったりの類推がされている。どうりでこの種の話は珍しくないのだ。マフィアのボスの娘の思い出話でほぼ本書の内容に近い本もある。ニクソン大統領が自分がJFK暗殺に関った証拠がウォーターゲートビル民主党事務所に隠されていると思って、ウォーターゲート事件を起こしたとの類推は、私が知る限り本書だけのものである。
近年、CBS放送等の調査、実験で以前不可思議に思われていた点(例えば、JFKの脳みそが射撃された方向に吹っ飛び、体が玉が飛んできた方向に倒れた点、弾丸は体内に入ると直進せず、進路が回りくねること)が実際に起こりうることが次々に明らかになり、オズワルド単独犯説が最近は力をつけているように思える。
(最も、なぜあれだけの証人が次々と亡くなったかの疑問は残ったままだが)
ただし本書がきっかけで随分とその後、勉強させてもらった。その意味では感謝している。
モサド、その真実 世界最強のイスラエル諜報機関 (集英社文庫)
高校のころ、同級生に落合信彦をすすめられた。
最初は「2039年の真実」だった。それから、熱中して何冊も読んだ。(ついでに、同時期に同グループで「中国の旅」もはやっていた)
落合信彦を読むのが、ちょっとしたはやりだった。
小説に走ったり、CMに出てからは、すっかりイロモノ扱いされてしまったが、最初のころは、まじめなジャーナリスト、であったのだと思う。少なくとも高校生を本気にさせる力はあった。
この「モサド」は落合の真骨頂であると思う。日本人ジャーナリストの他の誰もが手をつけない、つけられないところまで易々と入り込み、いきなり「外国人ジャーナリスト並み」の力を示したのだ。この功績は、イロモノと化した今でも色あせていないと思う。
「モサドが命を惜しまないのは、仲間が必ず死体を引き取ってくれると信じているからだ」なんてセリフは、高校生をしびれさせた。絞首刑の写真まで載っているし。
結果的にモサド礼賛の大宣伝になったわけだが、アラブ側の視点でも書かないと、当然ジャーナリストとしての姿勢に疑問符はつく。
アメリカとイスラエルにやたらにコネがあるらしい落合信彦。…さて、彼の正体は本当はなんだったのだろう。チンピラジャーナリストか、真実を追い求める一匹狼か、はたまたCIAか。高校生の時はいざ知らず、そのくらいの頭は回るようになった、このごろだ。
小説 サブプライム 世界を破滅させた人間たち (集英社文庫)
前作と同じキャラクターで展開しています。
中学生のころから呼んでいますが最近は小説の上梓が少ないので待ちわびた
本です。
内容は気軽に読めるないようです。
サブプライムを超えて―狼たちの聖戦 (角川春樹事務所 ハルキ文庫)
落合氏の作品を読むのは、前作の『小説サブプライム』に続いて2作目ですが、氏の持つインテリジェンスが随所に出ていて、楽しく読めました。
グリードに流されず、人として、男としての粋を追求する主人公。 こんな格好いい日本人が本当に存在していたら、日本もまだまだ捨てたものではないのかもしれません。 登場人物があまりに格好良すぎて、ちょっとうまく行き過ぎな部分も多々ありますが、マネー、武器、謀略などがテーマの小説にしては、さわやかな読後感が残るのはさすがです。
来週、まさにイスラエルへ行くところなのですが、この本を読んだことで、また違った目で、物事を見れそうな気がします。