資本論 (まんがで読破)
まず驚いた。自分がいかに“大学の講義を無駄な時間としていた”かにだ。
そもそもの誤解、それはマルクスを資本主義経済学者だと思っていた事。
漫画に入る前に、薄い紹介文を見ただけ、それだけで過去28年間の資本論に対するそもそものイメージが覆された。本書は資本主義についての説明書ではない。共産主義者の革命家が書いた『資本主義批判書』なのだ。
本書は、本場『資本論』の第1巻をベースにしているため“内容は薄い”そうだ。しかし、それは原作を理解している人からの感想であり今回初めて目にした私の様な立場の人間からすると充分深い。だからあえて、“そうだ。”にとどめておく。
〜金が何で出来ているか知っているか?〜
19世紀前半後に起こった産業革命以後、工業化により商品の大量供給が可能になったが、貧富の差はますます広がり、人々の生活は豊かになるどころか苦しくなるばかり。労働者を酷使する生産過程の中で新たな価値を生み出す「搾取」のシステムが明らかになる・・・。
資本主義社会に生涯をかけて立ち向かった革命家・マルクスの代表作を漫画化。
主な登場人物は3人。資本家であり投資業界の大物ルーキー“ダニエル”と、ダニエルと手を組み希望を抱いてチーズ工場を設立するが、労働者を酷使し搾り取る事に罪悪感を覚え葛藤する主人公“ロビン”、ロビンの父親で“中間の生活こそ理想”と金の本質を説く“ハインリヒ”。マルクスの主張は、亡き妻の遺言に乗せこの“ハインリヒ”からのメッセージとして表現されている。
金とは何か、労働力とは何か。自らが製造している物が一体何なのかを知らない、知ろうともしな労働者。そして、彼らをただひたすらに価値製造の道具にする資本家と経営者。その極端な構図が、現代のラインに並ぶ派遣社員の様子とダブりなんとも気味が悪い。
資本家の唱える錬金術それは『労働力の搾取』つまり、いかに安い賃金でいかに多くの物を生産させられるか。に尽きる。その為に恐怖を与え、働く事への疑問を抱かさない程に、ただ単調な労働の毎日を繰り返させる。しかし、“罰と報酬”その二つが、労働者へ自由という疑問を生み始めた。
本当に読むべきは続・資本論なのだろう。しかし、その前にこの本は見なければならない。なぜなら、この本が第一巻だから(笑)いや、(笑)ごとではなく面白い。