聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-【愛蔵版】 (初回限定生産) [Blu-ray]
映画館で観ました。2回観に行きました。何故だか2回目の時の方が余計に心に沁みました。お汁粉屋のお嬢ちゃんとのエピソード等、観ていて涙が止まらなくなってしまった。
小さなちゃぶ台に乗せた一匹の煮魚を、家族皆で分け合って食べるシーン等には驚かされました。当時これ程の人物でも、こんなに慎ましやかな食事をしていたのだろうか?それとも、山本家特有の方針だったのだろうか?食卓に上げられた祝いの鯛に、誰一人手を付けなかった話など、有名なエピソードも描かれています。
軍令部の反対を押し切って実行された真珠湾攻撃を大戦果へと導いたのが山本五十六なら、その半年後に大惨敗を喫する事になる、ミッドウェー海戦を発案したのも同じ山本五十六です。
そう言った意味では功罪併せて語られる事の多い人物ではあるのだけれども、役所広司さんの演技力や語られるエピソード等を観ていると、“随分と人間的な魅力の大きな人物だったんだなあ…”と感嘆させられます。
当時55歳と言えば定年退職に当たる年齢であって、連合艦隊司令長官への就任と言うのは、言わば引退の花道としての意味合いが強かったのだとも言います。
ロンドン軍縮会議への参加を始め、アメリカの底力を熟知していた山本が開戦に反対していたのは有名な話ですが、その彼が、奇しくも太平洋戦争の火蓋を切る事を余儀なくされたという事実には、歴史の皮肉を感ぜざるを得ません。
あるいは辞退する・引退するという選択も有ったのかも知れません。けれどもそれをせず、自らの責任と運命とを引き受けた彼の生き様に、軍人としての矜持をとても強く感じます。
太平洋戦争に於いて殆ど唯一の大勝利と言い得る真珠湾攻撃をもたらした山本五十六元帥然り、硫黄島の戦いで、敵将からも高い評価をもぎ取った栗林忠道大将然り、こういった素晴らしい司令官を持てたと言う事が、あの糞ったれの太平洋戦争に於ける我々日本人にとっての数少ないプライドと言えるのかも知れません。
当時の世論がアメリカとの開戦を欲し、新聞を始めとするマスコミがそれを煽動していた等の描写がとてもリアルに描かれています。この部分がキチンと描かれているという点に於いても、近年のこの種の作品としては出色の出来映えです。
作品のラストで、一面瓦礫となった都心の姿に呆然としながら、玉木宏さん演じる新聞記者・真藤利一が自らに問いかけます。
“この国は何を間違えたんだろう…この国は何処で間違えたんだろう…”。
それは、原作者・半藤一利氏自身の問い掛けであるのと共に、きっと、我々日本人全てに対しての問い掛けでもあるのだとも感じました。
P.S…10年以上昔ハワイに旅行に行った折り、ミズーリ記念館で山本五十六について書かれたペーパーバックを見つけて、英語もろくに読めないのにレジに持っていった時、ハイスクール位の金髪のレジ打ちのお姉ちゃんに、とても怪訝そうな顔をされた記憶が今でも残っています。アメリカ人にとっては、憎き卑怯な日本の司令官と思われていたのかも知れません。
この映画をアメリカの人達が観たら、どんな感想を持つのだろうか?訊いてみたい気もします…。
ミッドウェイ 特別版 [DVD]
チャールトン・ヘストン、ヘンリー・フォンダ、ロバート・ミッチャム、ジェームズ・コバーンなどのアメリカのオールスター・キャストの中にあって、三船敏郎が同格に扱われており、この点では評価できるのですが、内容的にはいまひとつでした。戦闘シーンの多くは他の映画からの流用ですし、ヘストンの息子と日系人娘のとって付けたようなロマンスは不要です。面白かったのはハル・ホルブルックの演じていた情報将校で、彼を中心に頭脳戦あるいは情報戦として描いた方が新鮮だったのではないでしょうか。ジョン・ウィリアムズのミッドウェイ・マーチもなんか雑な出来ですし、アメリカ建国200年記念映画のはずでしたがもうひとつでした。
特攻 空母バンカーヒルと二人のカミカゼ-米軍兵士が見た沖縄特攻戦の真実
ひょんなきっかけからこの本を紹介されている動画に出会い(UP主さんありがとうございました)即購入2日で読破しました。(ざっくりですが)
専門的な知識を持たない私のような者にも理解のしやすい歴史書のまとめくらいに捉えても差し障りないと思います。
私はまだまだ未熟な30代前半の者ですが101歳になる、東京大空襲を乗り越えた祖母もおり、現代の若年の者としては比較的、生の戦争体験者の生の声に触れる機会の多い人間と存じます。
そんな小生の所感と思っていただければ幸いです。
すでにレビューを書き込まれている諸先輩方同様の意見も多数ございます。
神風特別攻撃隊の任務内容上日本側に歴史的根拠のある資料が少ないことは当然です。従ってアメリカよりの内容に偏ることは致し方ないと取れる。
情報量から言って仕方のないことです。
しかし、現実的にこのような史実に則った書物は過去、国内の作者からは出てきていない。
問題は、この内容比率を理解した上で購入し読み切れる懐の深さがあるかどうかかと思います。
現代を生きる我々に、今は亡き当時の方々の気持ちを肩代わりすることはかなわないことです。
けど、決して逃げてはいけないのは、これが事実であり、彼らの魂が我々にも同じ日本人として宿っているということです。
歴史になんて、興味は無い。政治にだってうんざりしている。今の自分や家族のことを考えるだけで精いっぱいだ、という人にこそ(私もです)読んでほしい一冊です。
持ち運びは困難ですが(苦笑)少しでも自分の生まれた日本という国と、あなたのお父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃん、身近な人たちだけでもいい、
そこへ感謝の気持ちが生まれる全ての人に感じてもらいたい「人それぞれの何か」があると思います。
必読の一冊に推薦します。
太平洋戦争 4 決定版 (歴史群像シリーズ)
「第二段作戦」それが戦略として想定済みのものではなく、泥縄式であったことを一歩も二歩も踏み込んで徹底検証する一書である。
まずは、ミッドウェー海戦における六つの敗因「驕慢と油断」「保全の欠如」「一直制の戦備」「防御の欠如」「兵力の多様性と分散」「簡明の原則の欠如」これらの初歩ミスによって逆転抗戦の期待薄き第二段作戦の真っ只中に突入していくのである。
本書の他書を越える特徴は地図(当時の作戦秘図)をふんだんに用い、可能な限り写真と概念図を使い、戦線の実態を浮き彫りにしようとする編集の配慮が伺える。
「運命の悪戯」などではすまされない作戦の失敗、日本海軍の宿病と言うより過誤と驕り・迷走に迫る。
「空母はこう沈む」のもとに、日本空母「加賀」の場合の図式も真に迫るものがある。