Spirit of Wonder (モーニングKCDX (845))
ひさびさに読み返しましたが、やはり最高です。鶴田さんの連載漫画はほとんど未完ですが、これは短編集なので大丈夫。
今現在鶴田作品では最も重要な作品でしょう。
どの作品もちょっと切ない独特な読後感があり、空や海、宇宙が紙面のどこまでもひろがっています。こんなのかける人この人だけです。しかも画集とかでカラーになるとまたこれがいい。
後世に残すべき名作です。この頃が一番良い絵描いてましたね。
チャイナさんシリーズが万人受けで読みやすいので、まずはこれだけでも読んで。
終わりの見えない連載で読者を何十年も悶々とさせるならチャイナさんの新作書いてほしい。
まあ作品が少ないのもまたファン心理をくすぶる要因でもあり。
センス・オブ・ワンダー
すべての大人に。
特に、子育て中の方、
これから親になる方、
子供たちと接する環境にある方にお奨め。
レイチェル・カーソンは、作家であり、海洋生物学者。
そしてこの本は、彼女の遺稿である。
わずかおよそ50ページのこの本には、
甥(実際には姪の息子)のロジャーとともに“探検”、“経験”した
メイン州の自然がつまっており、
その描写は、まるで宝石のように美しい。
これはよく目を凝らし、
観察していないとできない表現だろう。
そして主題は、
子供に自然のすばらしさを教えること、
そして、“センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見張る感性”を育むことが、いかに大切かということだ。
カバーの裏表の分も含め14枚の美しい写真(森本二太郎さん撮影)は、
すべてメイン州で撮影され、
最後のページに説明書きもある。
あっという間に読み終わるが、
今すぐにでも、
たとえ、雨が降っていようとも、
外に出て、自然に触れ、
地球の声に耳を傾けたくなってくる。
そして、
雄大な自然にも、
葉っぱの下の小さな世界にも、
“驚嘆”すべき世界があるということを、
自ら体験したいという衝動に駆られる。
「地球の美しさと神秘を感じとれる人は、科学者であろうとなかろうと、人生に飽きて疲れたり、孤独にさいなまれることはけっしてないでしょう。たとえ生活のなかで苦しみや心配ごとに出会ったとしても、かならずや、内面的な満足感と、生きていることへの新たな喜びへ通ずる小道を見つけだすことができると信じます」
センス・オブ・ワンダーを探して ~生命のささやきに耳を澄ます~
ファーブルを日本で最初に訳したのは、大杉栄という話は、
はじめて知った、驚き。大腸菌の話では、遺伝子を切ったり、
貼ったりする機能を大腸菌から発見し、遺伝子の組み換えが
可能になり、解析もすすんだという、なるほど。
ヘッケルの「個体発生、系統発生」については、たいへん
分かりやすく説明していて納得できる。
「脳死」に対して「脳始」という概念が成り立つはずとい
う話は、とてもユニークであった。
顕微鏡を発明したレーウェンフックと画家のフェルメール
が一緒に仕事をしていたという福岡氏の推理は、とても興味
をひいた、面白い。
福岡氏の「動的平衡」という考え方がなぜ主流にならない
かの説明が凄い、つまり、
「それは機械論的な考え方が資本主義社会に馴染むからだ
と。メカニズムとして体を考えるから医学が成り立つし、薬
を開発できるし、操作的な最先端医療が可能になってそれを
受け入れる人が出てくる。動的平衡の立場に立つとアンチエ
イジングは意味がないし、薬もだましだましに使うべきだと
か、飲まずに済むならそれが一番ですというふうにしか言え
ない。そうすると、儲けられる人がいなくなっちゃう」
これが福岡伸一の答えである。うーん凄いヒトである。
ぜひ、生物学と文学を融合してもらいたい、勿論、阿川佐
和子も素晴らしい聞き役であった。
たいへん、面白い本、おススメ。