インヴェンションズ・フォー・エレクトリック・ギター
非常に重要な作品です。これなくしては、あの傑作「ニュー・エイジ・オブ・アース」や「E2−E4」を生まれなかったかもしれません。この作品は、サイケデリックが、ミニマル、ニューエイジ・ミュージックへとゆるやかに進化を遂げた良いサンプルだと思います。またジャケに自分の顔をでんと据えるところからも、この方向性に対する、彼の自信を窺うことが出来ます。楽器はエレキ・ギターの多重録音のみで、デレィやループを大胆に駆使した、当時としては、非常に斬新な実験的なサウンドですが、わりと聴きやすいし、彼らしい優しさにあふれた名盤です。
Seven Up
アシュ・ラ・テンペルはブルース・バンドでギターを弾いていた若干17歳のマニュエル・ゲッチングと同じバンドでメンバーだったハルムート・エンケ、タンジェリン・ドリームを脱退したばかりのドラマー、クラウツ・シュルツェとのトリオで70年にベルリンで結成されました。当時のドラッグ・カルチャーの煽りをモロに受けたバンドは発狂したジミヘンやクリームのさながらの強烈なインプロヴィゼーションを展開します。本作はアメリカを追われ、たまたまスイスに亡命していたLSD研究家ティモシー・リアリー博士とのセッション・アルバム。M1の「スペース」はバッドトリップを音で再現したようなカオティックなサウンド。ブルースやロックンロール的なフレーズも所々に鏤められているためか、カオスの中にも??やかな酩酊感があります。M2の「タイム」は荘厳なオルガンがゆったりと流れる宗教音楽のようなアンビエント。この曲はピンクフロイドの「神秘」に似ていなくもないです。わずかに2曲しか収録されていませんが、どちらも長尺ナンバーなので聴き応え十分、トランシーな快楽的宇宙サウンドをじっくり堪能できます。
Ash Ra Tempel
アシュラテンペルはこの1stと「Join Inn」がいいです。
どちらもシュルツェがドラムを叩いているので。シュルツェのドラムは絶対ハマります。
2nd以降はゆるすぎる感じがしたのでやっぱりこれです。
ドラッグ絶対やってて、時間間隔とかおかしくて20分ぐらいダラダラ演奏してるにも関わらず、
展開とか起承転結とか感じさせてしまうのは凄いバランスです。
聴かせます。時間があっというまに過ぎるのだから驚きです。
天才だから無意識になっちゃったんでしょうか。プロデュースのコニープランクの働きでしょうか。
アシュラテンペル以降、音楽界から降りちゃったヘルムート・エンケの暗黒ベースも良いです。
完全に降りてしまったのは残念です。
1・2曲目とも、20分という演奏時間の深い溝に引っ張り込んでいく感じが凄いです。
ドラッグやってないにも関わらず、時間間隔をおかしくされます。
Friendship
2000年に結成30年を記念して、
Klaus SchulzeとManuel Gottschingの2人だけで再結成されたAsh Ra Tempel名義の最後のスタジオ作品。
1曲目は30分の大曲。
1970年とは異なるテクノロジーによってSchulzeがドラムスを再現し、
21世紀の新しいAsh Ra Tempelのサウンドが模索されている。
2曲目は、Schulzeのリズミカルで美しいシンセサイザー、ドラムシンセと、
Manuelのラテンフレーバーの軽やかなギターに癒される20分間。
3曲目のFriendshipでは、一転、冒頭からManuelのギターがひたすら泣きまくる。Schulzeは脇役。
このギターの重さは、Amboss、Schwingungen、Echo waves、Nightdustなどとは明らかに異質で新境地。
Friendshipという言葉とは裏腹に、友人HartmutやRosiを失った人生の哀しみに充ちているようだ。
26分間、Manuelの独白のような内的世界に引き込まれていく。
New Age of Earth
ジャーマンエレクトロミュージックと云えば、同時期のKlaus Schulzeが最盛期を迎えており、Timewind や Moondawnを出していますが、
Ashraも同じエレクトロニクスの手法を取りながら全く異なった音楽になっている。
Schulzeの音楽は精神の奥深くに潜行させるのに対して、Ashraのそれは、天上に引き上げてくれる。
New Age of Earthを聴くといつもα波がにじみ出てくるのが分かる。
特にOcean of Tendernessのギターアドリブは絶品で、天上世界の大海に揺られている気分にさせてくれる。