1999年に幻冬舎から出た単行本の文庫化。
三浦按針ことウィリアム・アダムズの生涯を描いた小説である。伝記ではない。解説等にあるように、かなり自由に想像を羽ばたかせて書いている。
また史実、地名、人名等のミスも散見される。
とはいえ、物語としての魅力は十分。
下巻では、家康の寵愛を受けて旗本に取り立てられるあたりから、長崎のオランダ・イギリス商館での活躍、晩年まで。
上巻ではちょっと理想的に描かれすぎていたアダムズだが、下巻ではむしろ人間くさい姿が前面に出てきて、弱さやプライドといった側面が焦点となっている。
もうちょっと取材をきちんとして欲しかった。
さすがに白石作品は海洋小説が面白い。特に高松城水攻めでは行長の船で大砲を撃つなどのアイデアは面白い。この部分をこれほど詳細に内容豊富に記述した作品はかつてみない。歴史小説259作品目の感想。2010/06/06
読み物としては面白いし、分かりやすい。早く下巻を読もうと思う。
ただ、『日本人』という意識が当時の人々にあったのだろうか、とふと思う。
日本では駿府の人であったり、長崎の人であったりするのだろうが、いったん言葉の通じない外国に行くと、日本人を意識するのだろうか。海外で自分達自身を相対化するとそういう意識が出てくるのかな。むしろ鎖国以前の方がそういう意識は強かったのか。
そういう興味がかきたてられます。
第97回直木賞を受賞した『海狼伝』の続編。
『海狼伝』では話の軸が笛太郎のみであったが、『海王伝』では笛太郎&牛之助と話の軸が2つになる。
この両者が絡み合いながら、黄金丸は日本を飛び出す。
牛之助が醸し出す独特の雰囲気の中に見え隠れする故郷への思い。
対する笛太郎の父親への思い。
それぞれがそれぞれの思いを抱きながら、黄金丸と共に、異国の海で暴れます。
とはいっても、本来は牛之助も笛太郎も争いを好みません。
それにもかかわらず、二人は吸い寄せられるかのように、争いに巻き込まれていきます。
そして、最後には笛太郎の父親と対峙することに…
もちろん、武蔵坊弁慶を彷彿とさせる雷三郎、船のこととなると船大将にさえ逆らう小矢太等々、愛すべき登場人物達は健在です。
因みに、私は話の終わり方に続編を期待せずにはいられませんでした。
ソレデハ…
他の方も書いてますが、「初恋の人」、島村ジョーに再会!
実は、1977年に行われた上映会で、高校生の時に一度再会していたので、結構覚えてる話もありましたが、まったく忘れていた話もありました。
特に、女の子の出て来る回を忘れていたのが、自分的に納得。よっぽど好きだったんですねえ。
後の新作もテレビ放映時に一応、何回かは見てたのですが、「声が違う」etcの理由で受け入れられず、「009」と言えばこちら、とずっと思ってました。
今でもお話のいくつかは、(せりふとか設定を現代向けにすれば)通用するのではないでしょうか?
ただし、パッケージ裏に「不朽の名作」とするべきところ、「普及の名作」になってるのは、ちょっと興ざめですね。中身にはまったく関係ない部分なので、逆にもう少し気をつかって欲しかった。校正したのかな?・・・子供たちには受けてましたが。
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