まず最初に、蝋人形なんて聞くとおどろおどろしいものを想像しますが、きっと本国では少年少女がポップコーンをぶちまけながらキャーキャー言って見るようなお祭り映画です。 その点を誤解してると裏切られます・・・というより、裏切られる前提で見始めると意外と楽しめます。
ストーリー自体にひねりはなく、どんでん返しも無いけど、ホラー映画の定石通りの展開でそれなりにドキドキします。 ラストの大スペクタクル(!?)もこの手のホラーにしては派手で、蝋人形館という設定だからこそできる見せ場が用意されています。
直接的なグロ映像は少ないですが、指先をニッパーでチョキンと切られたり、溶けて煮えたぎった蝋を体に吹きかけたりと、痛々しいシーンが多いです。 思わず「イテテテ〜!」と声が出ちゃいました。
脚本的には、もう一歩踏み込んだらもっと怖くなるのに、という惜しさがあります。 心に残るような恐さはありませんが、代わりに畳み掛けるスリルの連続が持ち味になっているように思います。 だからこそ、友達とワイワイ見るならば充分楽しめるのではないでしょうか。
ちなみに、一人だけ明らかな大根役者がいまして・・・彼女の演技に注目して見るのも楽しいですよ〜。
日本最凶のヘヴィメタルバンド聖飢魔'Uの代表曲といえば1986年にヒットした「蝋人形の館」を挙げるファンが多い。そして1999年にリリースされてたのが本作の「蝋人形の館99」すなわち99年の最新録音盤である。1999年といえば聖飢魔'Uが解散した年でも有名だ。
1986年に発表された「蝋人形の館」と本作の99年ヴァージョンを聴き比べると言うまでも無く彼らの音楽性が比較にならないほど良くなっているのが分かる。(当り前だが)しかし本作の99年ヴァ-ジョンはしっかりとアレンジがされており個人的に86年ヴァージョンより聴き応えがあるしホラー的ムードも99年ヴァージョンのほうがよく出ている。そして'Bの「蝋人形の館ANNEX」は「蝋人形の館」を遊び半分の感覚でアレンジされたヴァージョンだが、'@'Aの「蝋人形の館99」よりインパクトがあった。どういう感じかというと少しホラー的ムードに彼ららしいお笑いセンスを取り入れたようなイメージで少々ナンセンスながらも彼ららしい個性が出ている。また'Dは「KMIGAYOは千代に八千代の物語」は隠れた名曲の一つでもある。個人的に本作は99年度の聖飢魔'Uの魅力が詰まったシングルだと思う。
本作は聖飢魔'Uファンだったら一度でもいいから聴いてもらいたい作品だ。
聖飢魔IIにとって、大きな飛躍の年となったB.D.13年(1986年)に発布された2作目。録音構成員は前作と同じ。同年1月に日本青年館でミサを行い、着実に知名度を上げつつあった聖飢魔IIだが、デーモン小暮閣下(Vo)のテレビ出演をキッカケに人気爆発。本作から小教典となった「蝋人形の館」も大ヒットし、お茶の間にも広く知られる存在になり、事務所にも仕事のオーファーが殺到。スタッフが対応し切れない状態にまで発展したとの事。
音楽的には前作同様、創始者・ダミアン殿下の曲が多いが、「DEMON’S NIGHT」等ジェイル大橋代官(g)の楽曲も収録され、特に「FIRE AFTER FIRE」は代表曲の1つ。ミサのオープニングとして定番となる「創世紀」は、ミサでは演奏されない3連譜パートを含めた完全版。因みに本作は曲前にナレーションがあるが、86年当時、LP、CD、カセットの形態で発布されており、LPには曲前のナレーションと「創世紀」「JACK THE RIPPER」は収録されておらず、6曲のみだった。
同年、夏の岡山でのイヴェント・ミサにて閣下が足を故障し緊急改造手術を受け、予定されていたスケジュールが暫くキャンセルせざるを得ない状態に。尚この時期、構成員の変動があり、ゼノン石川和尚(b)が加入。
「エスター」や、「アンノウン」などのジャウム・コレット=セラ監督、
ジョエル・シルバー、ロバート・ゼメキス製作のホラー映画です。
展開や配役もしっかりしてて、典型的なホラー映画ですがホラー映画ファンなら観て損はしないです。
本書は非常に高度な小説である。何が高度かといえば、読者の頭を使わせるという意味ですこぶる高度な本なのである。では、それがいったいどういうことなのかということを説明したいと思う。本書で描かれる舞台は第一次大戦からヒットラー台頭までの混乱をきわめたベルリンである。体裁は連作短編となっていて、六つに分かれたそれぞれのタイトルにはそこで描かれる人の名が冠してある。そう、本書には六人の主要登場人物がいるのである。
貴族として生を受け、職業軍人となり、果てはジゴロに成り果てたアルトゥール・フォン・フェルナウ。ロシア革命によって亡命し、ドイツ内戦の中でシナリオライターに憧れるナタ―リャ・コルサコヴァ。貧しい家に育ち、流浪の末ナチ党員として銃弾に倒れるフーゴー・レント。ドイツ系ユダヤ人の裕福な家庭に生まれ、差別に悩まされながらもドイツ人として戦争に参加するハインリヒ・シュルツ。子供の頃にみた人形の見世物に心奪われ、人形師として名を成す薬中毒のマティアス・マイ。そしてこの物語の中心人物とでもいうべき異形の歌姫ツェツィリエ。これら六人の登場人物たちがそれぞれ絡み合い、ひとつの壮大な歴史絵巻を作り上げるのだが、これが一筋縄ではいかないつくりになっている。まず、それぞれの章で語られる事実が微妙にリンクしているのだが、年代が前後するので系統だてて頭の中で整理しなければならない。内容にいたっても微妙なズレが生じ、いったいどれが真実なのかと困惑してしまう始末。しかし、それは作者が仕掛けたミステリなのだ。幻視者として名高い作者の描く世界は混沌と退廃と耽美にまみれ、読むものを幻惑し強烈に惹きつける。ラストにいたって本書の仕組みは解き明かされるが、そこに整合性はない。しかし、それが物語の魅力となって余韻を残す。やはり、この作家は素晴らしい。心底惚れてしまった。
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