欲望(1966年):ロンドン:POPアート:ヤードバーズ=砂丘(1970年):カリフォルニア:サイケデリック:ピンク・フロイド。ミケランジェロ・アントニオーニの手による2つの英語圏作品は、奇妙な符号の一致を見せている。『欲望』の中では、ストイックなまでの抽象的表現の中に、アントニオーニらしい深遠なメッセージの断片を感じ取ることができたが、はたしてこの『砂丘』においてはどうだろうか。
<ピンク・フロイドとのコラボレーション>というまがまがしいキャッチコピーが付けられた本作品は、『欲望』における完全に形骸化された<ヤードバーズ>の扱いとは異なり、アントニオーニ独特の世界観が<ピンク・フロイド>という個性に完全に侵食されてしまっている。まるで昔の<ピンク・フロイド>のミュージック・ビデオを見ているかのような陳腐なラストシーンが、アントニオーニ的な普遍性をないがしろにしているのは間違いない。撮影中、両者が反目し合ったという事実も大いにうなずける。
『猿の惑星』のロケ地として有名な<ザブリスキー・ポイント(原題)>における男女の絡みは、この映画の中で唯一アントニオーニらしいメッセージ性を感じる。「排除しなければ先へ進めないのか」資本主義に対する究極の命題を観客につきつけた後、まるで原始時代の類人猿のように砂まみれになってフリーSEXにふける若者たちを映し出す。学生運動の集団にも溶け込めず、かといって体制に尻尾をふることもできないマークは、まるでどこか別の惑星を思わせるこの<ザブリスキー・ポイント>を「自分に似ている」と恋人に語るのだった。
現在も横浜にある「港が見える丘公園」は平野愛子のヒット曲から名づけられた公園で、いかに当時この曲がヒットしたかを物語るエピソードです。 終戦直後のビクター新人歌手募集に応募し、「長崎物語」を歌って見事新人歌手の座を掴むことが出来ました。彼女の声には艶があり、うっとりとしたムードを聞かせてくれます。このCDには、「月よりの使者」の片面に収められた「夜霧の砂丘」など、ヒット曲のみならず隠れた名曲も収められており、コンビとしてよくステージに立った竹山逸郎とのデュエット曲も収録されてるのも珍しいと思います。 昭和56年に若くして世を去りましたが、今は忘れ形見のお嬢さま、平野淑子さんが、彼女のヒット曲を歌い継いでいます。
1988年、季刊誌『リミュエール』が企画した「リミュエール・シネマテーク」が、映画10本のビデオ発売として実現された。その内の一本が、ヘンリー・ハサウェイ監督『砂丘の敵』(1941)であった。その後、管見の限りビデオもDVD化もされていない。その意味では本作は貴重な一本だ。10本のラインアップの目玉は、ツァラ・レアンダー、キャロル・ロンバート、ヴェロニカ・レイク、それに本作のジーン・ティアニーが加わる女優賛歌にある。ジーン・ティアニーは『ローラ殺人事件』(1948)が代表作だが、本作ではエキゾティックな美女として登場する。彼女に絡むのがジョージ・サンダースとブルース・キャボットであり、悪役が似合うサンダースが、ここではジーン・ティアニーがいる原地部族の味方になり、ラストでは・・・
何よりも20年前の「リミュエール・シネマテーク」の10本すべてを見ることができない、という現状を突破する『砂丘の敵』のDVD化を歓迎したい。ちなみに「リミュエール・シネマテーク」のラインアップは次のとおり。
・フリッツ・ラング『暗黒街の弾痕』(1937)
・アルフレッド・ヒッチコック『海外特派員』(1940)
・ジョン・フォード『果てなき船路』(1940)
・ヘンリー・ハサウェイ『砂丘の敵』(1941)
・エルンスト・ルビッチ『生きるべきか死ぬべきか』(1942)
・ルネ・クレール『奥様は魔女』(1942)
・デトレフ・ジールク『第九交響曲』(1936)*
・デトレフ・ジールク『世界の涯に』(1937)*
・デトレフ・ジールク『南の誘惑』(1937)*
・ダグラス・サーク『誘拐魔』(1947)*
*印4本は現在、DVD化されていない。ダグラス・サーク(デトレフ・ジールク)のDVD化を期待したい。
|