蝦夷松前藩の家老の奥方だったお絹は、今は江戸で小間物の行商で生計を 立てている。 夫は江戸在府中、突然死に、一緒にいた息子は行方が分からない。 どうも何か隠された裏が、ありそうだ。 実はお絹は、きっと何処かで生きているだろう息子を探そうと、江戸にいるのだ。 小間物の客や茶店の娘、絹に心を寄せる奉行所同心の持田など、人情あふれる 江戸の街が鮮やかに、また住む人々の暮らしが、こまやかに描かれる。 年増の後家がその日暮らしの生活じゃ、周りが放っておかないんじゃ?とか思うし、 松前藩のような小藩であっても家老といえばそれなりの格式があろうもの。 それがいきなり、裏店に住んで行商!との設定にはビックリするが、次第に そんな細かいところは、どうでも良いじゃないの、という気になってくるから、 不思議。 茶屋の女・お君、同心・持田、船宿の娘・おいね、そして、お絹など登場人物の 生き方を示して、人は人生をどう生きるか、という大きなテーマが潜んでいる からだろう。 250ページあまりの本だが、内容はもっと厚い。 結構、深〜い!
前作の「我、言挙げす」から作中では10年たってます・・・伊三次夫婦には伊与太の下に娘も1人生まれ、はや娘も10才・・・、ちょっとちょっとォ、10年って歳月たちすぎ! もうちょっと、まだ若い父親の伊三次や、ちょっと年増になっても艶っぽい「桃太郎」姐さんと、 「かしゃん!」と可愛らしい口をきく、ちいちゃな伊与太坊の成長を楽しみたかったんだけどなぁ。 今回、龍之進を中心に確実に世代交代、物語の中心人物が代替わりしています。伊与太の出番がとても少ないのが残念でしたが・・・。 龍之進の嫁取りがどうなるのか、なかなか楽しめました。 が、やっぱり一気に登場人物が年をとってしまったのが残念。 八丁堀純情派は、軒並みいい大人になってしまったし、あれ?無頼派は??結局尻切れトンボでしょうか?? もうちょっと、ゆるゆると歳月を綴ってほしかったですね。 今からでも「きっちゃん」の生まれた頃の話を書いて頂けませんでしょうかねぇ? でもさすが宇江佐さん、この本もしっかり読み応えアリです。 次は茜や伊与太、吉ちゃんの話を書いて下さるんでしょうか、今回伊与太も色々悩むところ多そうだったのに出番が少なかったので、茜との係わりが今後どうなるのかと共に、龍之進の妻が今後あの家の嫁としてどう過ごしていくのか、きっといい姑になるだろういなみのその後も、やっぱり気になります。 次作が今からとても楽しみです。
この作品を読む前に、レビューや他の書評などの評価が低かったので、覚悟して(笑)読みました。 読み終わった感想はというと、悪くはありません。
泣きの銀次の前作2つに比べれば、できは良くないかもしれませんが、それなりに違和感は感じませんでした。 銀次も50才近くになり、悔やんでも悔やみきれない出来事、人生の悲哀など感じる晩年になったということでしょう。
やりきれない結末ということもいえますが、人生にはこういうこともあるでしょう。
「泣きの銀次」の全3巻とも、表紙が余り趣味が良くない気がしますが、皆さんはどうでしょうか。
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