中国新聞社の登山ガイドブックは、2005年(平成17年)に入り「中国地方の山100選」として装い新たに登場した。近年の高速道路網(そしてコンビニエンス・ストア)の発達によって、登山者の行動範囲は大いに広がっている。この本によって、中国地方の多様な山の魅力に、より多くの人々が接する機会が増えるであろう。かつて山には若者があふれていた。中国新聞社の初めての登山ガイドブック「リュックかついで-広島の山歩き-」が発売されたのは、今から25年前の1980年(昭和55年秋)のことだ。当時の「山屋-ヤマヤ」の雰囲気を色濃く残した記述もあり、今読み返してみても楽しい本となっている。
その後に続いた「ふるさとの山歩き-広島県と周辺の山々-」(正・続)の2冊セットでは、”家族で楽しめるルート”として、広島県を中心に近県の主な山を紹介している。この2冊を元に、広島の山に限定してまとめ直したのが、「ひろしま百山」1998年(平成10年)刊だった。そしてこの本は、今でも”中高年登山者のバイブル的存在”となっている。
若者からファミリーそして中高年と、シリーズ新版が出るたびに対象年齢が押し上げられている。年齢を重ねていくある特定の年代層(団塊の世代前後)に合わせて、本の内容(ルートの難易度など)が変わってきたといえるだろう。もう一度、若者たちであふれる山を取り戻せないだろうか。この新版片手に、元気な中高年が息子(娘)や孫といっしょに山に行く機会が増えるならば、こんなに楽しいことはないだろう。