喜劇的要素をふんだんに盛り込みながら、1972年8月20日に起きた実際の事件が描かれる。主人公ソニー(吹替えではトニー)の動機、えげつない報道陣、本当は何も理解していないのにソニーへの共感や反発をいたずらに誇示してみせる群集など、現代に通じる問題点を見い出せる。ストーリーの根底には深い悲しみが込められていると思うが、たとえそれに同意していただけない方も、キャストの素晴らしい演技には強く惹きつけられるはず。「ゼア・ウィルビー・ブラッド」や「ノーカントリー」と同じく、米国のそれぞれの時代を舞台に人間の精神のありようを捉えきった普遍的な作品。
邦題「狼たちの午後」については、原題 dog day afternoon が表す息苦しさ・閉塞感が失われ、単なる銀行強盗の話としてのイメージしか伝わってこないのが、とても残念だと思う。
シルベスタ・スタローン、あるいは、ポール・マッカートニーにどこか似ている、若くて勢いのあるパチーノに出会えます。「ゴッドファーザー」同様、圧倒的なキャラクターと存在感に釘付けになることでしょう。完全に役にはまっています。
のどかそうな(!?)表紙と邦題から、今度はどこかの南部令嬢と熱いボディガードの物語かなぁと思っていたら、ヒロインのマギーは書店を経営している自立した女性だし、舞台はアメリカ国内なのに、まるでアクション映画を観ているようなシーンもあって、今までのシリーズとちょっと違うなぁと思いながら、一気に読んでしまいました。ヒーローのイーガン・キャシディも、孤独なんだけどウルフとはまた違った個性で、作者のビバリー・バートンはきちんと書き分けてると思います。ヒーローとヒロインの関係も素敵でしたが、何よりヒーローが息子と心を通わせるシーンがとても素敵でした。 今後の活躍を期待できる他のボディガード達が出て来るのも、このシリーズの魅力のひとつ♪
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