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続・大人の流儀 やはり書くべきテーマや、伝えたい動機があると、文に凄みが出るものなのですね。
前作は「締め切りが来たから、何か書かなきゃ」的な文章が多いと感じましたが、今回は違う。
能動的に書いている気がしました。伊集院さんの筆が冴えてます。

作家に限らず、1人の大人として生活していれば、頭に血が上ることもあるし、逆に心が少し温かくなる体験もする。
今だから理解できる、あるいは話してもよいと感じる体験を披露する気にもなる。言わずにはいられない場面にも遭遇する。
そんな日常に対して自分の気持ちがどう動き、何を考えたかを、無駄なく活字にし、読み手に何かを考えさせてくれます。

エッセーは、日々のニュースや、教科書に載っている内容のような、have toの情報を得るためのものではなく、
「お前が言うな」みたいな突っ込みを時には入れながらも、筆者の視座に触れ、読み手が何かを感じることに、読む意義があるのだと理解しています。
伊集院氏の場合はその都度、自分の立ち位置を明確にしているのだから、読み手が「自分のことを棚にあげて」などと感じることがあっても、それはまさに「だからどうした」なのです。

最終章の震災手記には、自身の戸惑いを伝えつつも、その過程で感じた、守られるべき者たちへの途方もない愛情と心配、守るべき者たちの行動に対する失望と苛立ちの感情が読み手にひしひしと伝わってきます。
津波の様子を「映画を見ているよう」と伝えたキャスターの無神経さに憤り、自らは震災の日の夜に仰ぎ見た空について「驚くほど星空があざやかである」と表現する。
どちらも現実感のないことを言わんとしているが、これらの言葉を発した両者の立ち位置にはとんでもない開きがある。
それは分かる。彼のように、無駄のない言葉でスパッと言うのは難しいけれど…。 良書です。

定本 宮本から君へ 4 背表紙も凄いです。書店じゃ買いづらいです。w
その後の宮本もよかった。

太田裕美白書  冒頭を「木綿のハンカーチーフ」についての長いを占めている。しかし、この談話の内容はあちこちで語られているもので、ファンには新味がない。また、「太田裕美」、「木綿のハンカチーフ」というキーワードを別のものに変えても、通用するようなありがちな話である。
 それでも『太田裕美白書』は一冊のまとまった資料であるから、外せなかったのは分かる。しかし、もっとページ数は減らしても良かったのではなかろうか。

 この本を半分近くを占めている「メモリアル・トーク集」と題する当時のマスコミ記事の再録、そして対する太田裕美自身のコメントの載った章も資料としては実に優れているのではあるものの、もっと突っ込んで欲しかった(特にアメリカ留学〜テクノポップ路線・結婚のあたり)。

 さらに、松本隆曰く「ガラッパチ」な太田裕美の素の部分を引き出せなかったか?

 とはいえ、太田裕美ファンなら必携。
 その理由はほかのレビューアの皆さんが語っているとおりである。

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