この作品は、元脚本家の作者が練りに練り続け、
満を持して世に問うた傑作。
題名、人物描写、構成のバランスが完璧。
関ヶ原の戦いの描写が司馬遼太郎に似ていたとの事で絶版らしいが、
これは間違ってると思う。
この作品で重要なのは、
戦争に対する島津の視点であり、作者の独創性が強く反映している。
もし、酷似した部分があったのなら、訂正すれば良かった事である。
この作品を絶版する事は、
文学界にとってあまりにも不利益な結果だと思う。
作者の情熱と新潮社の英断に期待したい。
若くして才能を開花させながら、明治維新を見ることなく死んで いった英雄。そしてその名も、坂本竜馬などとは比較にならない程 知られていない。 しかし、その功績はとてつもなく大きい人物。一度読んでこの人物 のファンになった。 吉田松陰の高杉晋作の評価が素晴らしい 君の詩の才能は久坂に及ばない。理由は、君の詩には”志”がない。 久坂には強い”志”がある。君は、素晴らしい才能を持ちながら、 ”志”を持たないために力を発揮出来ない。 ”志”とは、人間に磨きをかけ、成長を加速させる。 ”志”を持たないために力が発揮出来ていない。 現代の日本人には、このタイプがとても多いのではないだろうか。
すべての期待を裏切る忠臣蔵。それを前提に観なければ、この映画は語れないし解りません。これは刺客集団の物語ですし、大石はその頭なんです。そこの所、押さえて観なければ駄作だと思い知らされる映画です。
家康の生涯を描いた作品は極めて少ないが、本作品は簡潔にまとめてある。やはり山岡荘八作品には及ばない。確かに家康の人生は遁げに終始していた。それが長い時間をかけた天下取りに結びついているといえる。家康のつぶやきが現代風の口調になっているところが多少気にかかるがやむを得ない。歴史小説268作品目の感想。2010/07/10
映画いうまでもなく傑作であるが、このドラマの「最後の忠臣蔵」も、配役が絶妙で、たいへんに見ごたえのある作品になった。個人的に好きな、和久井映見のせいばかりではない、北大路欣也の凛とした討ち入り時の姿とは対照的な、瀬尾孫左衛門への懇願の表情は、一人の性としての男そして父親のそれであり、すばらしかった。 上川隆之の寺坂吉右衛門はかっこよすぎる気もするが、瀬尾孫左衛門を演じた香川照之の怪演・熱演と対をなすもので、見ごたえのある配役となった。 寺坂が、進藤源四郎と天川屋の計らいで江戸へ下り、結果的に斜面を勝ち取る下りは、いつ見ても(読んでも!)溜飲が下がるのだった! 日本人が忘れかけた、いやほとんど忘れてしまっている「忠義」の心をこそ、「絆」といいながらも総論賛成各論反対の昨今の風潮に対してアンチテーゼとして示したいと思うのは私だけか。
|