ドラマを録画して、何度も見ました。女郎野風の切なくも美しい描写に心奪われて、最後まで目が離せませんでした。タイムスリップというと、それだけで結果が見えてしまう使い古された設定が頭に浮かぶかもかもしれませんが、そう感じる方は確実に予想を裏切られると思います。ドラマもキャストも演技も数年に一度巡り逢えるか?といったほどの面白さでしたけど、この原作があればこそです。
浅薄で軽い作品は合わないという方は、是非ドラマと原作を見ることを、お薦めいたします。簡単なストーリー等は、どこからでも調べがつくので、ここでは書きませんが、歴史モノが苦手な人でもハマる要素が多いと思います。なにしろいずれかを、見てみてください!
残しておいて、その後何度も見たいというドラマは数多くないけれど、JIN-仁はその一つであり、現時点で最高のドラマの一つであると思う。たぶん、私同様前編のドラマを見て、さらにこの完結編をリアルタイムで観た人がこのDVDボックスを買うことになるのだろうが、それほどのインパクトのあるドラマだったと思う。どなたかが書いているが脚本がすごい。各局のゴールデンタイムのドラマとは一線を画す出来である。ストーリーが史実に忠実であるかどうか詮索するよりもこのようなドラマを作り上げたスタッフと出演者陣にエールを送りたい。
村上もとかの自伝、漫画に対する向き合い方などがつづられた本。 漫画とは何か、なにが「面白い」とかんじさせるのか、その本質を抑えていつも作品を作ってきたのだと思った。また、アシスタントに対する考え方も、人間性の低い漫画家が増えている中、本当の意味で人を育てているんだな、と感じて、共鳴した。
村上もとかの漫画は、とてもリアリティにあふれたものが多くて、 ヒット作の「JIN〜仁〜」も、なんでこんなに医療に詳しいの?!っとびっくりしたくらいだが、 医師でもない村上もとかがどのように専門家と作品を作り上げていったのかという背景もかかれていて、こだわり方や、考え方が素直に書かれていて面白い。
絵の上手さを追求する漫画家は多い。 だけど、絵の上手い漫画家のヒット作は実はそんなに多くないのではないか。 村上もとかの絵自体は、デッサンが狂っているところも当然あるし、絵がすごく魅力的なわけでもない。だけど、作品はぐいぐいひとを引き込むし、その間「夢」を見られる。引力があるのだ。 絵の上手さよりも、話の楽しさ、偽の世界をいかに本物に見せるかという工夫。
面白い作品は、やっぱり、このような姿勢から生まれるし、それは絵の上手さ以上に漫画家に求められるものなのだと、再確認した。漫画雑誌の不況といわれるが、もう一度、この原点にもどったら、漫画はまた面白くなるだろう、と思った。売れない漫画家に、一読をおすすめしたい。
これまでの「龍」にも「仁」にも、 男と女のことは描かれていたが、 それぞれ、「満州」や「江戸と医療」という テーマのほうが大きくて、 登場人物にまつわる華として添えられているような 観があった。
この「蠢太郎」は、そういう意味でいうと、 テーマは「歌舞伎」だが、 いままでの作品よりも、「男と女」の度合いが、 各段に高いように見える。 本来のテーマである「歌舞伎」が脇にあるような。 それだけ、短い作品のなかに「色」が、 描かれている。
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