1st、2ndとを元the dBsのクリス・ステイミーがプロデュースしたことで話題となったノースキャロライナ州チャペルヒル出身のバンドの3rdアルバム。 今作からプロデュースはKEITH CLEVERSLEYに代わっているが、とにかくすばらしいの一言。捨て曲一切なし。バーズから脈々と受け継がれるギターポップ、パワーポップの超ど真ん中。3人のすばらしいコーラスに2本のギターが絡み合う様には目頭が熱くなります。 is this music (teenage fanclub tribute)にも参加しています。
前作の2nd Full Album「ANOMALY」が出たのが2010年6月30日。
約11ヶ月を経てリリースされた細美武士(ELLEGARDEN)率いる、the HIATUSの三曲入り2nd EPです。
一曲目は「Bittersweet / Hatching Mayflies」
意味的には、「ほろ苦い味 / 孵化するかげろう」あたりだと思います。CDを再生した瞬間にノイズが走り、次の瞬間にはまるで各楽器が生き物みたいにうねりながら、聴き手を彼らの音世界へと引き込んでゆきます。いつにも増して情報量が凄まじいのですが、それらが見事に噛み合い、一周回ってある程度のポップさを保っている印象です。そして「Hope to me (僕にとって希望って)」と語られて始まる細美さんの唄。どんな人も少なからず共感出来るのでは、と感じさせる穏やかな歌詞。やがてその声は美しいファルセットを描くサビに入り、全く新しいのに何処か懐かしい、そんな場所に聴き手を連れて行ってくれます。歌詞中には出て来ない「Bittersweet / ほろ苦い味」という言葉をあえて曲名にしている理由が、このメロディを感じると何となく伝わって来ると思います。
二曲目は「The Brainwasher 」
これも聞き慣れない単語ですが、訳すと「洗脳するもの」です。歪むギターと細美さんの唄で始まり、the HIATUS得意のギターリフが耳を直接刺激するように唸り出します。2nd Albumでも頻繁に聴かれたその独特なリフに、何処かからっとした明るさを帯びたメロディから、切ないと言えば良いのか、ダークと形容すれば良いのか、あまり上手く言語化出来ないサビが訪れ、「間違ってなかったって思う時はきっと来る / 君にももう分かってるはず」という細美さんらしい言葉が突き刺さります。
三曲目は「Snowflakes」
和訳には「雪花」と書かれていました。曇らせたようにリズムを紡ぐ二つの太い音の上に、透き通るシンプルなピアノが奏でられ、そこに細美さんの唄が絡まり出します。両耳で異なるアコースティックギターが連鎖するように奏でられ、その静寂にも等しい穏やかな音を背に、落ち着いたサビが半ば語られるように紡がれてゆきます。弦楽器隊の激しさは影を潜め、the HIATUSにしか出せない美しさを惜しみなく注ぎ込んだような曲です。
全体を通して、EPといっても一貫した落ち着きや穏やかさが3曲ともに共通していて、散漫とした印象は無く、テーマを持ったミニアルバムのようです。やはり常に異なり、それでいて彼らなりの新しい音世界をひたすら探求しているのが、the HIATUSなのかなと思います。
そして余談ですが、個人的にはこのCDをよく晴れた日の昼下がりに、1人でぼーっと外を眺めながら聴いたら最高だろうな...。なんて思いました。ファンの方なら是非手にとってみて欲しいです。
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