中古で半額でていたため思案の末購入しました。画質は非常に精彩できめが細かく,色調も大変豊かだと感じました。初期設定の「スタンダード」の画質はすこしどぎつい感じですが,調整すればブラウン管の業務用モニターの画質にも近づくように感じました。音質は小型スピーカの割には落ち着いた感じですが,低音はほとんど出ていないようです。また,少し離れて聴くとこもった感じになるようです。大画面の迫力とはやはり次元が違いますが,小粒ですが高級感があり,これはこれでたいへん魅力的だと感じました。
予備校で化学を教えていることもあり,ある程度の知識はあるが,それでも非常に面白かった。高校の教科書程度の知識ならあると思っている人も,意外と知らないことが書かれているのではないだろうか。本全体としては,前半部分はやや冗長な気がしたが,後半に進むにつれ,少し突っ込んだ話も出てきて興味深い。著者の知識の豊富さが感じられる。特に参考になったのは,「6-9 ヘモグロビンと葉緑素」「7-3 青銅・真鍮・砲金」「7-4 三角コーナーに銅を使う理由」「7-7 ナポレオン三世とアルミニウム」「11-2 神経伝達とナトリウムチャネル」など。一例としては,真鍮のことを「黄銅」または「ブラス」と言い,トランペットやサキソフォンなどの金管楽器はこのブラスでできているので,吹奏楽団のことをブラスバンドという話は,なるほどと思った。
それぞれの項目が,かゆいところに手が届くような内容でありながら,しかしマニアックな路線に入らず,浅いところで止めている。それが,メリットでもあり,デメリットでもあるが,読みやすさには貢献している。化学に興味がある高校生が読むのにも最適だろう。
この本のタイトルに”クラッシック”という文字が含まれているが,中身は古いものから最近のトピックまでがバランスよく掲載されている。読者対象者は大学四年生から大学院生,そして有機合成化学を勉強する人なら一度は読まなくてはいけないと思われる名著である。全合成化学を志す人だけでなく,新規反応等の化学を志す人も基礎的なことを理解することには不可欠な本であろう。また,反応機構もしっかり記載されているので,リファレンスを引く回数も少なく,学生が理解しやすいように書かれている点もお勧めである。読みやすい英語表現は学生が論文を書いたり,発表原稿を作るのにも利用できる。この本を熟読後には基礎的な知識を身に付くことはもちろんのこと,有機合成化学がいかに発展してきたか,そ!して現在の有機化学がこれらの知見を基にして,これからどのように発展して行くのかが見えてくる。有機化学のバイブルとして万人にお勧めです。
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