「Poo-Sun」で発表された二曲が、長尺の演奏で収められているライヴ録音盤。初CD化とは嬉しいです。 マイルス・デイヴィスの「Spanish Key」を明るくしたようなエレクトリック・サウンドの「ダンシング・ミスト」、 それとは一転してアコースティック・ピアノが硬質で美しい「イエロー・カーカス・イン・ザ・ブルー」。 当時の菊地さんのグループがどのくらい勢いがあったか、 瀬川昌久さんのライナーノーツと共に、熱い演奏から伝わってきます。
この小説で描かれる世界はTVドラマで描かれていたような 瑠璃子と直也の純愛物語とは質を異にしている。 恋人との仲を理不尽にも引き裂かれたことに対する仕返しを、 全ての男を弄ぶことで遂げようとする瑠璃子の復讐劇と、 その終幕までを描いた大衆小説である。 ドラマでは描き切ることが難しい心の中の葛藤の描写は圧巻の一言。 瑠璃子の妖艶さに迷い、理性と感情の間で揺れ動く男性の心理描写は この小説を読まなければ分からない醍醐味を感じる。 版権などの様々な事情で近年出版されていないと聞いていた菊地寛の原作が、 TVドラマ終了後に文庫として復刊されたことを感謝したい。
菊池寛の短編集ともなると、
「恩讐の彼方に」「忠直卿行状記」「藤十郎の恋」といった定番代表作は絶対にはずすことはできません。
ですから、他の短編集とはちょっと違うよという「個性」を出そうとすれば、お馴染みの定番作以外に一体何を載せるかというところが腕の見せ所になってきます。
そんな、定番以外の作品選定のセンスが、このちくま文庫版は素晴らしい。
正攻法の感動作から、ユーモアたっぷりの小品まで。バラエティに富んだ品ぞろえです。
しかも、巻末の解説を執筆するのは、先だって亡くなったばかりの井上ひさし氏。
これが、いかにも井上氏らしいウィットに富んだ名エッセイになっており、これだけでも一読の価値があるというものです。
まさに、巻頭から巻末まで一分のスキなし。
初めて菊池寛を読む人には、私絶対、このちくま文庫版をすすめますね。
定番作はもちろん、文句のつけようがないほど素晴らしいのですが、それ以外のところで個人的におすすめなのが「島原心中」
検事の目を通して人間の業の深さに迫る異色作ですが、実は、文豪森鴎外にも、遊里での心中事件を扱った「心中」という傑作短編があるのです。
同じような題材を扱いながら、それぞれの小説から受ける感じはすごく違います。
菊池寛と森鴎外。二人の文人としての資質の違いが非常にはっきり見て取れて、私はとても興味深かったですね。
あと、もうひとつのおすすめは「弁財天の使い」
昔話のようなほのぼのとした物語を読み進み、結末に至ると、「やられたあ」とのけぞり、しばらく笑いが止まらない。そんな秀逸なオチを持った佳品です。
「うまい!」と、思わず膝を打つ、これほどの「やられた」感は、なかなか味わえるものではありません。
才人、菊池寛の手腕を、是非ご自分の目でお確かめ下さい。
ほとんど読んだ事が無かったが、読まれ続ける物の力を改めて感じた。 当時の小説家のほとんどが男性でそこに描かれる女性の不憫さややるせなさ、諦めに似た悟りなど耐える存在としてのみ価値をおかれて居た中で、この真珠夫人の主人公は飽くまで敢然と、女性の尊厳を守るべく戦い続けた。潔く美しい姿が同性として非常に気持ちが良かった。時代背景や設定もあり、多少ドラマチックが過ぎる場面も有るが、全体的に修飾は華美ではなく場面展開の絶妙さも手伝い、最後まで飽きる事なく読める。 読後感としては主人公の生き方に清々しさを感じつつも、何十年と時が経った現代を生きて居ても、社会における女性の見方は変化していない、もしくは更に悪化しているのではなかろうか、と重々しく思った。 菊池寛と言う人の女性観に少々驚いた。こんな風に女性を見てくれる男性が増えれば、女性もよりたおやかにしなやかさを失わず、さらに強くなれるのでは無いだろうか。
貿易論の入門書です。国際経済学の入門書には最適かと。ユニットごとに小分けされているので読みやすく、時間もかからないでしょう。初心者、国際経済に苦手な方にお勧め。ただし、入門書なので本当の初歩だけの内容となっています。
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