一次資料を地道に調査し、その結果をまとめている努力には敬服します。
普段は調べないような基本的な事柄や来歴が丹念に調べてられており、開発経緯や運用構想などにおいても第一級の資料であると言えるでしょう。
しかしながら他の評者の方が次のように評されているように
>その一方、同シリーズに一貫してみられる「奇妙な記述」も散見され
「定説の覆し」というセールスポイントを強調するあまり、妙な論理展開をする記事が散見されます。
特に古峰文三氏の記事はこの傾向が強く、氏の持ち出す資料そのものは信じても、その論理展開は注意深く読む必要があります。
誰にでも実機らしい疾風が作れると言う点で評価は高い。
何よりも長らく童友社(旧トミー)しか存在しなかった、同機の1/32を出してくれた事への感謝の念は大きい。
全体的な印象は同社の1/48の拡大版で、中級者以上の目線ではストレートに組むと、あっさりした表面モールドのせいもあり、やや「ノッペリ」した印象になってしまう。必要に応じてパネルラインを深堀りしたり、特に無塗装機を作る場合はリベット打ちした方が良い。(このサイズだとリベット打ちは相当大変だが。。。)
外形はほぼ正確。機種がやや太めという指摘も見ますが、実機を何度も見た印象からすると、これくらいがちょうど良い。主翼に補強桁を組み込み上半角が狂わないようになっているのは、とてもありがたい仕掛け。ただし、胴体と主翼には左右それぞれ0.5'o程度の隙間があくので、パテ埋めが必要。(現代のキットにしては珍しい)
コクピットも少なめのパーツでよく纏まっていますが、座席はクッション+落下傘を敷いた状態ではなく、忠実にシート形状を再現してほしかった。(そのおかげでエデュアルドの高価なエッチングパーツのお世話になりました。)エンジンも良い出来ですが、完成後に見せるようにするためにはそれなりの改造と技術が必要。(ピストン背面の肉が抜けていたり)
総括すると好印象の外形で評価が高いものの、1/32で出すのならもう少し濃密な内容を期待したかった。同社の1/32への姿勢はタミヤとは違って、ある程度の技量のモデラーが腕を発揮するための「素材を提供する」という印象を感じる。つまりタミヤはモデラーがエンジンやコクピットなどの各セクションを組んでいく中で、それぞれの構造や形状を学ぶ楽しみがあるが、同社は「そこまではキット側は用意しないから、必要な人は自分で調べて自作しなさい。」というメッセージを随所から感じます。これはかつてから一環した同社の姿勢なので、どちらが良い悪いと一概に言えるものではありませんが、私の好みだけ言わせてもらうと、もう少しだけタミヤ的な要素があった方が嬉しいです。
米軍からも「日本最優秀戦闘機」と評価され、日本陸軍も「大東亜決戦機」と期待をかけ、あの大戦後期の時期に三千余機も「大量生産」された海軍の零戦に比すべき陸軍戦闘機「疾風」の内部メカニック知るには手頃な一冊です。 その点では確かに不満はなく「星5つ」評価したいのですが、諸装備の説明で“防弾設備がまったく無い”と明らかな間違いが記載されている。米軍はこの戦闘機に対して「墜にくい」と評価し更に捕獲した実機を調査し防弾設備を確認しレポートに明記しているにも関わらず(一部実戦部隊で重量軽減のため取り外したケースがあったかも知れないにせよ)、“当時の状況から考えると退化”“なんとも考えにくいことだが・・・”と変な説明を続けている。“考えにくい”のはこの執筆者の調査能力だと言いたい。いったい何を見て調査したのか。陸軍戦闘機は防弾設備に関しては海軍戦闘機よりは比較的充実しており(同時期の海軍戦闘機「紫電改」は操縦席背面防弾板は無かったらしい)、人によっては“瑣末的”な指摘だと思うだろうが“誤り”は“誤り”である。この点で非常に残念な記載である。
個人的に松本零士の『コクピット』の一篇でやたらと印象に残っている機体です。
本は写真と図版が多く、モデリングに初めて挑戦する人には、廉価で良いのではないでしょうか。
記事ではやはりエンジンの故障が多かったということが書かれており、日本人よりアメリカのほうがこの機体を高く評価していたのではという印象を受けました。
戦時中のパイロットらによる華々しい体験談はあまり見かけないので、戦後にアメリカ軍が行った搭乗試験のレポートが読みたいものです。
太平洋戦争末期の戦闘機乗りの話をまとめた短編集。雷電、月光、一式陸攻、疾風、隼、零戦、飛燕などが著者独特の迫力ある絵で描かれてある。
ストーリーは劣勢の中で簡単に死んでいく搭乗員の非情さを描いているが、「月光、夜明ヲ見ズ」において自らは生きたい思っただけなのに結果として英雄になってしまった搭乗員が、死後の自分を見つめながら空中に浮いて空を漂っている姿はまさに千の風になったと思った。
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