頑固爺さんが兄弟と再会するまでの実にゆっくりとしたロードムービー。 どこかコミカルでまた重たい。 なんか良いんですよ(笑)言葉で表現出来ない良さがこの作品にはあります。
イーストウッド作品を貶した回に、ウェインの「蓮實重彦かぶれのイモども」発言(p136)がある。ウェイン&ガースの青春時代はハスミ派の全盛期だったはずで、やっぱり意識してるんだよね(当たり前か…)。
で、2人のスタンスを考える上で、ガースの旧著『興行師たちの映画史』が参考になる(実はまだ積ン読なんですが、タイトルがね)。つまり映画トハ興行デアル、と。蓮實本人はともかく、ま、蓮實フォロアーには確かにその線は弱かった。
もう1点。俳優を評価するとき、ウェインはしばしば実人生と映画での役歴を混同する。例えば「実際に幼い頃に父親に家出されて、14歳の頃から道端で客取らされて、酒場で輪姦された」ジョディ・フォスターが『羊たちの沈黙』でクラリスを演じてるのはスゴイ、とか(p256)。もちろんガースがすぐにツッコミ入れるワケだけど、ウェインはおそらく、驀進してくる列車の映像に逃げ惑ったという、あの映画史初期の神話的観客を擬態している。そしてこの観客は現在なお、最も素朴な大衆的感性として生き残っている。蓮實は明らかにこの問題に意識的だったけれど、ウェインほどに過激に大衆を擬態することはなかった。
本書中には、ガースと青山真治のイザコザが報告されているが(p245)、これも上記のような伏線あってのことだろう。『チャリ・エン』なるバカ映画(ただし、興行的によく計算された)がキッカケらしいという点も、何だか意味深(p240)。
私は『ユリイカ』も好きだけど、青山がガースを「下衆」呼ばわりしたのは明らかに悪手。だってウェイン&ガースは、自ら下衆道を極めようとしているんだから(ただし最近のウェインには転向の兆しも見える)。
目が悪くて、車の運転もできず、杖が2本ないと歩けないじーさんが、 病気で倒れた兄のところまで、数百キロの道のりを園芸用のトラクターで ひとりで旅するおはなし 旅の途中で、いろんな普通の人たちがでてきて、 いくつも温かい言葉がでてくる それぞれのコメントはその人それぞれの人生の点景でしかないけれども それぞれの人生そのものであって、とても素敵である きっと見た人によって、響いたセリフはそれぞれ違うだろう たくさんの人がでてきたけれども、その一人一人の表情がよく浮かぶ 自転車ツーリングレースの会場で、車椅子自転車にのった青年の顔まで きっとまた、何度か見るでしょう 映画をみていて、無性に、止めたタバコを吸いたくなった。
生涯で忘れられない作品の1つ。ストーリー的に突出した事もなく、特別な演出もしかけもないのだが、何度も見てしまう作品。地上波ではなかなか見れない作品、マニアックと位置付けされる作品。素直に感動した作品です。本作を、松本サンにもお薦めします。好みの違いはあれど、どうかたくさんの方々に見ていただきたい感動の作品です。僕は、見終わった後に涙が自然と流れ出ました。。(熊本県・秀ちゃん流)
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