素晴らしい演奏です。極端ではないのですがアクセント付け方が絶妙で全曲一気に聴いてしまいました。価格も手ごろなので、始めて聴く方にも是非セットで入手して欲しい逸品です。
フランスのヴァイオリニスト、デュメイ(Augustin Dumay 1949年-)とポルトガルのピアニスト、ピリス(Maria Joao Pires 1944- )によるグリーグ(Edvard Grieg 1843-1907)のヴァイオリン・ソナタ全3曲を収録したアルバム。録音は1993年。
グリーグの3つのヴァイオリン・ソナタはいずれも美しい作品であるが、なぜか録音される機会が少ない。最も高名な第3番でも、新録音のニュースにはあまりお目にかからない。
これらのソナタにはしばしば構造的な欠点が指摘される。その「欠点」は、これらのソナタに、と言うより、グリーグの作品全般に言われることだが、対位法的な処理があまり行われず、音楽が展開力に乏しいことである。逆にグリーグの美点として「美しいメロディ」を創作する能力があった。そのため、グリーグの全作品を俯瞰すると、圧倒的に多いのが「小品」である。メロディだけに紡がれた、大きな展開のない音楽だ。逆に本格的なソナタ形式を踏襲するような規模の大きい作品は極端に少ない。交響曲は習作とされる1曲のみだし、ピアノ・ソナタとピアノ協奏曲がいずれも名品だけれど、たったの1曲ずつ。
そのような背景にありながら、なぜかヴァイオリン・ソナタだけは3曲もあるのである!この事実は結構重要な気がする。グリーグが自ら「不向き」と考え、ごく限られたインスピレーションのみを還元していたジャンルにあって、なぜかヴァイオリン・ソナタのみが豊作なのである。「ヴァイオリン」と「ピアノ」という二つの「歌う」楽器の合奏に、メロディ主体で楽曲を構成できる調和を見出したのかもしれない・・・しかし、そのヴァイオリン・ソナタも、よく構造的な欠陥が指摘される。例えば、一つの主題から別の主題に移る際の音楽的な処理は、しばしば「カット」され、ただの「ジャンプ」になってしまっていたりする。
しかし、これらのヴァイオリン・ソナタを彩る旋律は本当に美しいのだ。だから、上記の様な不自然な音楽的欠陥があっても、私はこれらのソナタをとても楽しむことができるし、いろいろな想像をかきたてさせてくれるものだと思っている。それで、その入手可能なディスクで有力な大御所による録音となると、このデュメイとピリスによるものとなる。
デュメイの演奏は、旋律の美しさを引き立てた瑞々しいもの。適度な柔らかみがあり、音色も過不足ない。とくに緩徐楽章の郷愁に満ちたメロディが、清涼感に満ちた爽やかな佇まいをもって示されているのは、たいへん好ましいと思う。作為を感じさせない自然なニュアンスに満ちていて、まるで夏の木陰で、涼やかな風を受けているような心地よい響き・・・たいへん魅惑手な演奏だ。ソナタ第2番の終楽章の輝かしさも忘れ難い。また、ピリスのピアノはいつもながら自由を謳歌するような演奏で、興味の赴くままに流れていくよう。デュメイとの相性は悪くないだろう。それにしても、もっと多くのヴァイオリニストに、これらのグリーグのソナタを録音してほしいと願う。
i'm not good at reading English, but i can understand this textbook enough and read every day. i think this reason is to be wrintten simply,interestingly,up to date... Even if you don't like English,... if you study up to date medicine, you should read this Harrison's Principles of Internal Medicine!!
甘くなく、深遠な演奏。オトナです。
買う前は、晩年のショパンと円熟したピリス、2人の心境がオーバーラップするような企画物?と思っていました。で、ロマンチック色が濃そうなので躊躇していたのですが、レビューを見て購入して正解でした。
ソナタ第3番、夜想曲第17番の出だしから最高。感傷的ではありますが、抑制が効いていて落ち着いて聴くことができます。演奏はゆったりとしていて、統一感があります。
ヘッドホンで聴くとピリスの呼吸が聞こえる。心が落ち着く作品です。
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