情報がネットワークを通じて自在に行き来する現代からは想像も出来ないことだが、1300年の遥かなる昔に生きた人びとにとって、何かを学び、或いは伝えることは、人生の全てを費やし、命がけで成し遂げる価値のある、文字通り“一代の事業”だったのだ。
東の果ての島国に仏法を伝えるため、不帰の覚悟で海を渡った「鑑真」。
そして、鑑真招来のための命を賭けた「栄叡」。
人生の全てを日本に送るための経典の書写に捧げた「業行」。
そんな彼らの意思を、運命のように受け継がざるを得なかった(主人公)「普照」。
彼らの姿を、簡潔に、されど情感豊かな描き出す作者の文章は、相変わらず見事の一言。浅田次郎氏が「歴史に敬意を払いつつ、見てきたような大嘘をつく」というように評していたが、言いえて妙である。そんな文豪の筆致を存分に味わえる傑作である。
面白かった。中井貴一がかっこよかったし、感動もする。 ただアクションシーンが少し見にくかった。
多種多彩な制作人に囲まれ、坂本真綾が紡ぎ出す。 それでいいと思う。
彼女のアイデンティティは、アクトレス。 つまるところ、表現者。
そこは何もぶれていない。
楽曲提供者は、確かに個性的だった。 だから「昨日のあの子が、あの子じゃない」という 戸惑いを感じた方も多かったんじゃないかと思う。
だけど、彼女はアクトレス。 誰にも譲らない、譲れないものを持っていると信じている。
仮に変化を求めているのなら、 それはそれで尊重してあげたい。
本書は遣唐使のドラマやロマンを超え、対外的な文化交流、外交上の問題を史料に沿って概説している。できるだけ主観を交えず、やや煩雑ではあるが、根拠を挙げ、さまざまな視点から総合的に述べようとしている。
〈遣唐留学生の墓誌〉…1300年を経て2004年、西安東郊で留学生井真成の墓誌発見、彼は何者かを考証・追究して興味をそそる。
〈遣隋使から遣唐使へ〉…遣隋使4回、しかし、日本の史書には見えないため疑う異見もある。 200年間以上の外交使節としての遣唐使、その間対立・抗争もあった。
〈長安・洛陽への旅〉…いずれのコースを選ぶか…北路ー新羅道の時代、南路ー五島列島を経由する。 陸路、洛陽・長安を目指す。開元22年(734)長安で死去した井真成、天平遣唐使を探る。 帰国の途次に遭難した無念の人々があった。
〈海を渡った人々〉…選び抜かれた人物たち−使節・通訳・船員・技手・技術研修生・留学生。遣唐使を助ける各種の技手が蔭にあって、長期留学者ー安倍仲麻呂と吉備真備など知名の人がある。鑑真の来日、あの鑑真は何をもたらしたのか。仏教精神・文物の移入、漢字の発音が伝わり日本文化の発展へ…
〈往来した品々〉…『延喜式』に見る朝貢品リスト(例えば、銀・瑪瑙・糸・綿など) 日本に伝わった唐の文物(漢籍・仏典・美術工芸品・薬物・香料など)「ブックロード」特に膨大な漢籍と仏典が伝わり、日本文化のバックボーンが形成される。みかん・茶などの植物も限りなく…
〈日本文化の形成と唐文化〉…遣唐使の停止をどうとらえるか(国風文化の醸成になったか?」 自らのフィルターで濾過して摂取する、この【効率的受容】に注目すべきであろう。それでも、はたして《開かれた日本》なのかどうかは、常に問われねばならないであろう。
今までの遣唐使関連の主な研究成果をまとめた上で、気象学や航海術から遣唐使を考え、問題を投げ掛けています。 すでに予備知識がある人には興味深いですが、初めての人には…うーん。 一般向けの関連書を読んでから読むと、おもしろいです。
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