のっこ(NOKKO)名義のソロ・ワーク5作品目。
REBECCA路線からの出口を模索したような1作目、当時最先端のクラブ・シーンにその糸口を発見した2作目、表現の間口を歌謡曲にまで一気に広げた3作目。そしてロック表現に収れんしたような(その意味では、これの終曲は「おまけ」ですね)4作目をへて、今作では、オーセンティックなポップ表現へといたっています。
それは、初期ユーミン(荒井由美)路線への接近(今作と次作で、かの女の楽曲をカヴァー)、ということでもあるわけですが、その歌詞世界においては、ユーミンとは明らかにちがいます。一歩引いた客観主義をとるユーミンにたいし、「のっこ」のそれは、あくまで私的主観に、つねに比重があります。(そのなかで、割りとユーミン自身の主観にちかいと思われる「ベルベット・イースター」がカヴァーされているのは、理にかなった選択、と感じます)
いずれの立場も、最終的には聞き手に「響く」ことを目指すわけですが、客観性の高い、広がりある位置に視点をおいていく態度と、自身の足元をえぐるように狭く深くいくのと、どちらが目的をたっする可能性が高いか?でいえば、一般的には、当然前者だと思われます。しかし、ここでの「のっこ」は、白井英明というサウンド面で絶好のパートナーをえて、その難しい可能性を拓いている、と感じます。ぞくぞくっとなるほどに、歌詞が「響いて」くるのです。
それらを引き立てている最大のものは、「のっこ」特有の声、です。ソロ期間をつうじ、少しずつ、抑制的にうたう(しかし出るとこは出る)技芸を身につけてきたかの女の歌声は、今作風にはまさにベストマッチ、というべきでありましょう。そして生音中心の、同じく抑制的に(しかし出るとこは出る)奏でられる音曲の響きが、かの女の声と歌詞世界とを際立たせています。
個人的にアルバム中の白眉は、最後のカヴァー曲「TRAVESSIA」なんですが、それ以外でもすべての楽曲が、シングル・ヒットするタイプではないながら、ぞくぞくするような、音楽の快楽に身をゆだねることのできる、名曲ぞろいです。それらが、アルバムとしての統合感を崩すことなく、順に響きあってゆく。1曲だけの「つまみ食い」はできない、またBGMに流しておくのもあんまりふさわしくない、全曲とおしてじっくりと味わうべき1枚で、まさに名盤。
最後にひとつだけ、「のっこ」による詩のなかで、わたしがもっとも「ぞくっ」ときた部分をあげて、紹介を終えましょう。私的に「狭く深く」掘れば、ときとして普遍へ届く、そのひとつの例証だと、思っています。
トラック8「アメージング」より
過去をビンに詰め 遠い海に流してしまうと
やがて砂に打ち寄せられて 人は物語る
いやぁ、良いものは、何年たとうが、やっぱり、良い。ミルクコーヒーを飲みながら、もう1回。
イマージュで小松さんを知り、
今回彼個人のCDを初購入。
リベルタンゴが有名すぎて、imageにそれ以外が入らないのが残念…
こんなにいい曲たくさんあるのに。
ファンなら楽しめる1枚だと思います。
結構、情熱的な曲ばっかりなので、
「癒し」というより、「気合い」っていうかノリたい時に聞くかんじです。
リヴァプールのストライカー、フェルナンド・トーレスの自伝。アトレティコ・マドリー時代の話から、リヴァプールに移籍してからの、ベニテス監督やチームメート、ファンたちとのエピソードが数多く語られる。トップクラスのストライカーながらとても純朴なキャラクターであることに親近感を覚えるし、リヴァプールというフットボールクラブがいかに特別な場所であるかということがトーレスの言葉の端端からもよくわかる。トーレスのファンは当然だが、リヴァプールのファンは絶対うれしくなる一冊だ。キャプテンとのエピソードもほほえましい。
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