タイトルもカッコ良く中味もカッコ良い小説。登場人物全員、とにかくひたすら勇敢で潔い。初読の折にキレイに乗せられてオイオイ泣いた記憶があります。「あり得ん」と斜めに見る気にもなれないところがスゴイ。気持ちの良い講談の世界ですね(←賛辞)。文章にもう少し格調高さがあれば、とは思いましたが、望蜀の嘆ということで。最初から最後までピシリと決っている、立派な作品だと思います。個人的には本能寺の変以降の日本史に暗く、関が原の戦いの経過にも無知だったもので、勉強になって有難かったです。絶版は大変に惜しいと思います。
家康の生涯を描いた作品は極めて少ないが、本作品は簡潔にまとめてある。やはり山岡荘八作品には及ばない。確かに家康の人生は遁げに終始していた。それが長い時間をかけた天下取りに結びついているといえる。家康のつぶやきが現代風の口調になっているところが多少気にかかるがやむを得ない。歴史小説268作品目の感想。2010/07/10
時代小説好きで、このところやたら藤沢周平、池波正太郎、佐伯泰英、と読み進めてきて、 またちょっと、小説ではなく、史実にある人物のものを読みたくなった。 今更司馬遼でもないかなと、久しぶりに池宮彰一郎の本書をとった。 「四十七人の刺客」の時に感じた、テンポの良い話しぶりが、信長の行動にマッチして、 これまでいろんな人が書いている信長ものと、また違う色合いを見せている。
巷にて喧伝されている信長の残虐性、傲慢さをどう料理するのか、興味深いところだが、 これが信長の考えかどうかは別にして、なるほどこういう解釈もあるのかと言う点で(従 って一つの仮説とみれば)、新鮮で面白い。池波の凛として文章が、よく似合う。 どの道、当の信長の気持ちそものはわからないのだがら、整合性よく、一つの池宮の解釈 として触れていけばいい。
信長、秀吉、家康の3人に対しては、フアンが別れる。 いろんな意味で信長フアンであれば、これはまさしく痛快。天才信長の面目躍如だろう。
×「義士」 ○「テロリスト」
×「討ち入り」 ○「やくざの出入り」
×「忠臣蔵」 ○「吉良義央殺人事件」
×「時代劇」 ○「やくざ映画」
そう割り切ることができるのであれば、この「四十七人の刺客」はたいそう面白い映像作品といえる。市川崑監督が「溜息が出そうな物語」を「鳥肌が立つほど美しい映像」で巧みに描写している問題作。
池宮彰一郎の原作があまりにも素晴らしいので是非とも書籍でもこの作品を堪能していただきたい。
毀誉褒貶が激しいようだが、私は中井貴一の外連味たっぷりの怪演が好きである。きもい。
この本を読むと坂本竜馬や西郷隆盛、伊藤博文などがすべて小者に思えてきます。
彼こそが持続した強い意志をもって長州を復活させて明治維新を成就させた第一の功労者だと
この本は教えてくれます。
彼の名が昨今取りはやされている坂本竜馬などに比べてあまり聞こえてこないのは
維新が成立する前に死んでしまったことと、彼の情熱が長州藩の復活ということに
集中して注がれた為に偉業としては狭いもののとして扱われてしまったことであると
思うが、
長州藩の復活なくして明治維新は成り立たなかったことと、後の新生日本を作り上げた人物が強く
晋作の影響を受けていることからも彼は大一級の革命者だと思います。
史実に忠実でありながら痛快に読める最高の歴史書です。
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